<鈴木おさむ>「離婚しない男」綾香は「篠田麻里子しかできないと思った」 “小6の頃から変わってない”世界観
--「篠田さんにブレークしてほしかった」とのことですが、やはり自分の作品でブレークする人が出るのは、作家冥利に尽きるということでしょうか。
そうですね。三谷(幸喜)さんや、宮藤(官九郎)さんの作品も、ブレークする人がいるじゃないですか。役者にとっても、作品をきっかけに売れていくってすごく大事だと思うので……僕は篠田さんに本当に売れてほしいですね。
◇後進の脚本家へ「“自分の好きなもの”を貫いて」
--既に脱稿されたとのことですが、執筆中に一番悩んだシーンはありましたか。
最終回です。最終的に、篠田さんが演じた綾香が何を言ったらいいのか……とても悩みましたし、こだわりました。篠田さんがこれを言ったとき、どんな女優が演じるよりも一番なんじゃないかってせりふになったと思うので、楽しみにしていただきたいです。
--脱稿された現在のご心境は。
特別感はないです(笑い)。まだ辞めるまでにほかの仕事もあるので、取りあえず一つ終わった、と。もう手元からも離れてだいぶたっていますから、バズってほしいと祈るのみです。
--最後に、後進の脚本家にメッセージをお願いします。
何より大切なことは“まず書くこと”。そして“自分の好きを大事にすること”です。僕自身の体験談を話すと……小学6年生の頃に生徒会長をやっていたのですが、僕の学校では、町の人口推移を発表したりする生徒会の発表が毎月あって。それがつまらなかったので、あるとき僕は芝居をやりたいと提案し、当時はやっていた大映ドラマ風に「マッチ売りの少女が不良にカツアゲされる」というストーリーをやったんです。
それが初めて書いた脚本です。結果はめっちゃウケて、成功体験にもなったのですが、それから時がたち「M 愛すべき人がいて」をやっていた頃から僕の作品は「大映ドラマ感がすごい」と言われ始めて。それって小6の頃から何も変わっていないじゃん!って恥ずかしさもあったのですが(笑い)。でも、昔からブレていないなって思ったんです。
例えば、三谷さんも昔から歴史が好きだと思うのですが、自分の世界観を持っている脚本家の方って好きなモノがブレていないんです。なので今後、この仕事をやりたいと志している人は“自分の好きなもの”を貫いた方がいい。そしてそれをちゃんと作品の中で出す。それがその人のオリジナリティー、強烈な作家性になると思います。