先祖に感謝 功績一冊に、富山県小矢部市の笹川さん夫妻 城下町・今石動の名家、銘菓を製造販売
富山県小矢部市中央町の笹川武さん(80)は今年、江戸時代に城下町として栄えた今石動町の名家・笹川家の歩みをまとめた冊子を発行した。今も残る市の銘菓を先祖が製造販売していたことなどを紹介。市の史料としても価値があり「いろんな人に読んでもらえたら」と呼びかける。 笹川さんは自身が傘寿、妻の則子さんが喜寿を迎えたことを機に、先祖へ感謝し、子孫に家の歴史を伝えようと、冊子の発行を決めた。 越中史壇会の米原寛会長が、笹川さんの保管していた古文書156点をはじめ、県史や小矢部市史を参考に執筆、監修した。 冊子によると、笹川家は砺波郡篠川村(現高岡市笹川)にルーツがある。江戸初期の1612年、現在の小矢部市中心部に当たり、加賀藩の城下町だった今石動に移住。江戸中期から加賀藩の重要な役職である「蔵宿」などを任され、地元の名家に成長していった。 そんな中、先祖の1人が、田んぼに張る氷に似ていることが由来の干菓子「薄氷」を売り出す。屋号の「木吉屋」を冠した菓子店で宝暦年間(1751~64年)から盛んに製造販売し、地元の銘菓になった。
当時の今石動には木吉屋を含め薄氷を扱う店舗が複数あり、現在唯一作る「五郎丸屋」(同市中央町)もその一つだった。木吉屋は長く人気を誇ったが、昭和の戦時中に職人が離れ、洋菓子の普及も重なり廃業したという。 冊子はこのほか、包装紙や広告といった薄氷にまつわる資料のほか、笹川家の家族の写真なども掲載。71ページで、県内外の公立図書館などで閲覧できる。笹川さんは「自身も先祖のことをより知ることができた」と喜んでいる。