エモすぎる描写…! 昔の少女漫画の必須アイテム「ラブレター」の登場シーンを振り返る
■ロッカーに大量のラブレター! 『有閑倶楽部』
昭和あるあるのラブレターシーンといえば、靴箱やロッカーに入れられたラブレターだろう。それが描かれているのが『りぼん』(集英社)で1981年より連載された一条ゆかりさんによる『有閑俱楽部』である。 本作は超セレブ高校生の6人がさまざまな事件に巻き込まれ、事件を解決していくストーリーだ。女性メンバーの黄桜可憐と白鹿野梨子はともに美人でとにかくモテる。コミック1巻初回にも、そんな彼女たちを巡ってさっそくラブレターシーンが登場していた。 学校に登校し、ロッカーを開ける可憐。3通のラブレターを手に取り「ふむ…今日はすくない…」と不満そう。それを見た野梨子は、自分宛ての大量のラブレターを可憐に差し出し“はい可憐、お好きなラブレターをどうぞ”と、イヤミっぽく差し出すのであった。 モテる彼女らは毎日のように多くのラブレターをもらっていたが、男性に興味のない野梨子にとってはさぞかし迷惑だったのだろう。 ちなみに、もう一人の女性メンバーである剣菱悠理もロッカーにたくさんのラブレターが入っている女子だ。しかし運動能力が高く少年っぽい悠理には、女性からのラブレターばかりが来ていた。 本作に登場するラブレターはすべて横型の封筒にハートのシールが貼られている。昔のラブレターといえばこのデザインであり、下駄箱などに入っているのがお約束。学生時代1度でいいからこんなラブレターをもらってみたかったなあ……と思う。
■ラブレターでいきなりフラれる!? 『イタズラなKiss』
思えばスマホがなかった時代は、相手に駆け寄って“好きです! 付き合ってください!”と言って手紙を渡すようなシーンも多かったように思う。それが描かれているのが『別冊マーガレット』(集英社)で1990年に連載が始まった、多田かおるさんの『イタズラなKiss』である。 主人公の女子高生・相原琴子は高校3年間ずっとクールな入江直樹に恋をしていた。ある日、思い切ってラブレターを直樹に渡した琴子。しかし、渡した瞬間「いらない」と突き返され、物語はスタートする。 夜に何度も誤字脱字をチェックし徹夜で書いたラブレターなのに、「いらない」の一言で撃沈してしまう琴子。しかしここからどれだけフラれても元気に立ち回る琴子と、元祖ツンデレ男の直樹との恋愛が徐々に始まっていくのである。 『イタズラなKiss』は、原作の多田かおるさんの急逝により、連載が未完となっている。しかし実写ドラマや映画化され、アジア各国でもリメイクされるなど、世界中で愛されている作品だ。フラれたラブレターから始まる純粋な恋愛ストーリーは、時代や国境を超えて多くの読者の心を掴んでいる。 今ではすっかり見ることがなくなったラブレターだが、昔は自分の想いを伝える方法としてよく使われていた。中学時代、誰かが誰かに渡したラブレターが教室に落ちていて、クラス中がざわめいた思い出もある。 ラブレターは“恋する男女のもの”というイメージもあるが、実は大切な家族や友人に送る手紙もある意味ラブレターと言えるだろう。ぜひ「ラブレターの日」をきっかけに、久しぶりに大切な人へ手紙を書いてみてはいかがだろうか。
でかいペンギン