中国の伝承をベースにした2DホラーADV『厌山夜话』が雰囲気たっぷりで面白そう。厚塗り風キャラがよく動き、霊媒師となって怪異を退治するパートも【WePlay Expo 2023】
1枚のアートを見ただけで、遊びたくなってしまうゲームというものがある。筆者にとって『厌山夜话』はそのひとつだった。 【この記事に関連するほかの画像を見る】 いざ触れてみると『十三機兵防衛圏』を思い起こすようなビジュアル、『死印』のような湿り気のあるホラー表現、現代的な美少女ながらホラーテイストにマッチしたキャラクタービジュアル……と、予感を裏切らない出来栄えを垣間見せてくれた『厌山夜话』。 まだまだ謎の多い本作だが、中国・上海で行われた大規模インディーゲームイベント「WePlay Expo 2023」にて、幸いにも試遊の機会を得ることができた。本稿ではあまりにも楽しみになった『厌山夜话』について、その感触をお届けしていきたい。 ■『十三機兵防衛圏』『死印』などを思い出す、美しく湿度を感じるビジュアルは圧巻 『厌山夜话』は中国の伝承をベースとしたホラー作品であり、日本的に言えば数々の「怪異」や「都市伝説」と、それらに立ち向かう人(霊媒師?)の物語が描かれる……というようなイメージだ。 特に雰囲気を駆り立てるのはその背景デザイン。例えばチュートリアルの導入であるこのシーンでも、薄汚れた壁に少しだけ傾いた室外機、欠けたトタン板、長らく放置されていそうな掲示板……などなど、どことなく不安を煽るようなモチーフが多々並ぶ。独特の“湿度”を感じるビジュアルのホラーぶりには、やはり『死印』などを思い起こすところもあった。 さらにこの背景の上では、厚塗りイラスト風に表現されたキャラクターたちが滑らかに動き回る。個人的にはアドベンチャーパートは『十三機兵防衛圏』のアートを目指しているようにも思われ、今回体験できたのはほんの一部ながら、その精緻すぎる作り込みに圧倒されてしまうほど。 建物や道路の細かい汚れ、夕焼けの明るさ、暗い路地に光る豆電球など、あらゆる映像表現が「こういうのが良いんだよ」と思わせる出来栄え。これは勝手な感性だが、路地裏の描写なんかはまさに“俺たちが見たい中国の路地裏”という趣で感動してしまった。 キャラクターの表現も良く、デザインはかなり現代的でアニメ風ながら、どこか色調が淡いこともあってかホラーの雰囲気によくフィットしている印象。実際、現地でもブースの看板を見た瞬間に「これはウケるんじゃないか?」と直感してフラフラと引きずり込まれてしまった。看板のかわいい女の子と不気味な風船が並ぶ絵面が最高だったんですよ……。 日本向けのストアページなどが公開されていないこともあり、まだ世界設定やストーリーについては筆者自身も把握できていない部分が多い。ただ“見ただけ”でも心惹かれる部分がたくさんあり、ぱっと見で思わず足を止めてしまうほど。今後の日本展開にも期待したいところだ。 ■怪異との戦闘はカードバトルで表現 本作のメインディッシュはハイクオリティなアドベンチャーパートとストーリーだろうが、アクセントとして用意されているのがカードベースの怪異とのバトルパート。チュートリアルでは、常に後ろ向きのまま襲いかかって来る謎の女性のような怪異との戦闘を体験した。 戦闘はターン制で進み、自分のターンには最大5つの行動力を消費してカードを発動する。各カードにはそれぞれコストが割り振られているほか、中には行動力を回復できるものもふくまれている。カードごとに攻撃、バフ、デバフなどの効果が記されており、それらを組み合わせて戦略を練る……という具合のもののようだ。 中国語の表記だったため、各カードの効果までは読み取れなかったものの、カードバトルのルール自体はそれほど複雑なものではなさそうだった。ただし戦闘終了後、レシートのような見た目で戦闘結果が表示されるのはお洒落なポイント。 まだ情報の少ない本作だが、繰り返しているようにそのアートは非常に心を惹かれるもの。背景デザインやモチーフになっている怪異などには“中国らしさ”がたっぷりと感じられるし、一方でキャラクターは日本のアニメやビジュアルノベル風で受け入れやすい。最終的なボリュームがどれほどのものとなるかは未知数だが、特にアドベンチャーパートの作り込みは相当なものとなりそうな予感を覚える。 『厌山夜话』はPC(Steam)向けの発売を予定しており、記事執筆時点では日本語向けのストアページなどは公開されていない模様。ただし「bilibili」の公式アカウントはオープンしているので、気になる方はチェックしておこう。
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