なぜか宮城に多い?欧州発祥のラウンドアバウト 環状交差点が全国で増加
地域の特性も考慮
ラウンドアバウトは地域の特性に合わせて整備されている。例えば、宮城県山元町山寺。震災前はJR常磐線の線路だった場所だ。震災後に線路が内陸側に移設され、元線路の場所は道路になった。衛星写真で比べるとその変化ははっきりとわかる。土地が広く確保できたため、ラウンドアバウトの設置に適していたという。 亘理町役場前にあるラウンドアバウトは宮城県でも有数の大きさ。2020年に整備され、近くには役場以外にも防災広場などがあり、災害時の拠点になることが想定されている。停電しても安全に通過できるラウンドアバウトの特性を生かした例といえるだろう。 住宅街の中に整備されたのが仙台市太白区中田町。交差点の周りは住宅に囲まれていて徒歩や自転車で通行する人の姿も多い。県警によると、歩行者は交差点外側の歩道などを通行することになるが、通行の向きについて制限はない。もちろん、中央のスペースを横切る「斜め横断」は禁止だ。一方、道交法上で車両に分類される自転車は、自動車と同じく交差点内を時計回りに進まなければならない。
意外?交差点内の事故は減少
運転する立場で考えると複雑な動きが必要に見えるが、ルールが明確でシンプルなのがラウンドアバウトの特徴だ。県警によると、徐行して交差点に入るというルールをすべての車が守れば、重大事故の減少が期待できるという。また、交通量が多すぎる場所でなければ、信号待ちの時間がなくなり、待ち時間の減少や二酸化炭素の削減にも貢献できるとしている。 実際に2014年以降、宮城県内のラウンドアバウトで発生した人身事故は3件で死亡事故はないという。県警はさまざまなメリットがあるとして今後もラウンドアバウトの設置を増やしていく方針だ。 安全で災害に強いラウンドアバウト。もしかしたら、日本の交差点もラウンドアバウトが主流になっていくのかもしれない。
仙台放送