【SDGs未来博】実践につなげたい(8月9日)
国連の持続可能な開発目標(SDGs)を巡り、2030(令和12)年までの達成に向けた取り組みが国内外で進む。電通の調査によると、国内のSDGs認知度は9割を超え、世界の先頭を走る。一方で、実践している割合は3割程度にとどまるとされ、認知度の高さを具体的な行動に結び付ける施策が求められている。10、11の両日、郡山市で開かれる「ふくしまSDGs未来博」を一人一人が行動を起こすうねりにつなげたい。 SDGsは貧困撲滅、健康・福祉、教育、ジェンダー平等、エネルギー、気候変動対策など17分野の目標を掲げている。2015(平成27)年に始まり、折り返しを過ぎた。残された時間は多くない。国連地域開発センター(UNCRD)が昨年度公表した47都道府県・1741市区町村の達成度のリポートは、「目標達成を実現できる速度に達していない」と危機感をにじませている。新型コロナ禍や地球温暖化に伴う気候危機、ロシアのウクライナ侵攻やパレスチナ紛争の影響で後退した分野もあり、正念場を迎えている。
リポートを監修した蟹江憲史慶応大大学院教授は、「変革の『種』が各所で見られ始めている」とも指摘している。例えば、県内の多くの事業所が進めているSDGs宣言書の策定、小中高での学習機会の設定、未来博の開催などが該当するだろう。この種を育てて開花させ、社会に定着させるには、個々人が目標を理解するだけでなく、自ら行動を起こす継続性が求められている。 ふくしまSDGsプロジェクト推進コンソーシアムが主催する未来博は、「福島のよりよい未来を考える」をテーマに60以上の企業や学校、自治体などが出展して取り組みを発信する。小中高生が制作したSDGs未来新聞やポスターも展示される。来場者が提供する食品を県内の子ども食堂に届けるフードドライブも実施する。国のSDGs未来都市に選ばれた東北地方の市長らが意見を交わすサミットもある。 未来博は楽しく学び、活動を広げるきっかけになる。イベントでの気づきは会社や家庭での実践につながるはずだ。未来を担う子どもたちに持続可能な社会のバトンを渡すため、日頃の行動の点検にも役立てたい。(湯田輝彦)