十勝岳登山道のロープ切断を受け、取り付けられた啓発標識。奥には踏み跡でできたとみられる「道」が見える＝8月

　大雪山国立公園内で、登山客による悪質なルール違反が相次いでいる。十勝岳望岳台（上川管内美瑛町）周辺では登山道を外れないよう設けた仕切りのロープが切られ、中岳温泉（同管内東川町）付近ではたき火が疑われる痕跡が確認された。多くの登山客が訪れる紅葉シーズンを迎え、再発防止に向けて関係機関が標識掲示など注意喚起に力を入れている。 【動画】大雪山系を一望に　絶景の穴場　平山で山開き

　十勝岳では6月、登山道を管理する上川総合振興局と地元山岳会がロープの切断を確認。固定する鉄製のくい3本もなくなっていた。このロープは昨年5月、高山植物が踏み荒らされるケースが相次いだことを受け、同振興局が登山口の望岳台から山頂に向かう500メートルの間に設置していた。 　切断された現場からは登山道を外れて歩いた跡とみられる「道」が続いていた。同振興局は、何者かがナキウサギの撮影目的でロープを切断したとみる。切断は器物損壊の疑いがある上、周辺は自然公園法で高山植物を踏みつけるなどして損傷させる行為が禁じられている「特別地域」でもある。