顔のドアップ、目線を合わせて低い姿勢で撮影でいいの? 写真家が教える子どもの写真を撮るときに気をつけたい意外なこと「子どもにカメラを渡してみて」
うまくてダメな写真とヘタだけどいい写真 #3
カメラを購入するときの理由の上位に必ず入るのが、「子どもを撮りたい」という動機だ。そして多くの親が子どもの顔のドアップを撮ったり、低い目線で撮影をしがちだという。写真家・幡野広志氏の新著『うまくてダメな写真とヘタだけどいい写真』より、子どもを緊張させずに自然に撮影する方法を伝授する。何が正しいかは人それぞれだが、よく語られる原則に従う必要は必ずしもなさそうだ。 【写真】子どもが楽しんでいる姿を撮るだけ
子どもと写真
ちいさいお子さんがいる人は子どもを撮りたいと思うんです。昔からカメラを購入する理由の上位は「子どもの成長記録を撮りたい」です。 子どもの撮り方のコツってたくさんあると思います。だけど安易に勉強すると、情報だけが一人歩きしてしまうと思うんです。たとえばありがちなのはカメラを子どもの目線の高さまで下げること。カメラを下げるなら子どもの目線じゃなくて、腰ぐらいまで下ろしたほうがいいと思うんだけど、そもそもこれってどうなんだろうってぼくは疑問に感じます。 アパレルメーカーの撮影で子どものタレントさんを撮るときは、もちろんカメラの高さを下げます。いわゆるプロのコツみたいなことかもしれないけど、日常的な写真で親が子どもを撮るのにそこまでする必要があるかといえば疑問です。 親が立ったまま子どもを撮ったときの写真がダメかっていうとぼくはまったくそうは思わなくて、むしろ子どもと親との身長差が反映されてていいなって思うんです。 うまい写真かヘタな写真かでいえば、カメラを子どもの腰ぐらいまで下げたほうがうまいとは思うけど、いい写真なのかダメな写真なのかはまったく別の話です。 別にカメラを下げる写真がダメってわけじゃなくてむしろ正しいです。だけど親が立ったまま撮ることもダメじゃないしむしろ正しいです。だけど「子どもの目線までカメラを下げる」みたいな情報を聞きかじって信じちゃうと、前者だけが正しいと思ってしまい写真ってどんどんダメになっていくんだよね。 安易に教えられてる情報ってあまり信じないほうがいいですよ。そんな情報はプロからすればコツというレベルですらないし。教えている人も三次情報で教えている可能性が高いし。 最近はスマホで写真を撮るときに「スマホを逆さまにする」ってコツがあるけど、スマホを逆さまにしてカメラを10㎝低く下げて30㎝先にある被写体を撮るなら効果はあるかもしれないけど、30m先の被写体を撮るのには効果がないよね。だけど「スマホを逆さまにする」だけを信じちゃうと意味がないことをやっちゃうんだよね。 子どもに声をかけてこっち向かせて笑顔の写真にしようって気持ちもわかるんだけど、子どもからすれば疲れちゃうし緊張しちゃうよね。かわいいからドアップで撮りがちなんだけど、自分が親におなじことされたら嫌じゃない?