認知症を遠ざける「本山式筋トレ」 “道具使わずおうちで5分”で記憶力が2.5倍に改善
「認知症予防には、脳トレや脳に効く食事だけではなく、身体を動かす“筋トレ”が重要です」と運動療法インストラクターの本山輝幸さん。筋肉から脳への刺激で、軽度認知障害の人の認知機能が正常レベルまで回復したデータも。おうちでできるお手軽筋トレで、脳を若々しく! 【写真】必要なのはイス1脚!「本山式筋トレ」で認知症を予防 「MCI(軽度認知障害)や認知症の人には“感覚神経が鈍い”という共通の特徴があります」 そう話すのは、長年、認知症を予防・改善する運動療法の指導を行ってきた本山輝幸さん。感覚神経とは体外から受けた刺激などを脳へ伝える働きを持つ。
運動しても疲れない。認知症のサインかも
「それが鈍ると暑さや寒さを感じにくくなり、身体を動かした時の筋肉の刺激や疲れも脳に伝わりにくくなります。認知症の方が思いもよらないほど遠くまで徘徊(はいかい)することがあるのはそのためです」(本山さん、以下同) そもそも感覚神経はなぜ鈍くなるのだろうか。 「近代化が主な原因と考えられます。ボタンひとつで機械がなんでもやってくれる生活では、身体に負荷がかからず、筋肉と脳をつなぐ感覚神経は鈍くなってしまいます」 感覚神経は認知症を発症して鈍るのではなく、日頃から鈍い人が認知症になる可能性が大きいという。 「5人に1人は幼少期から鈍いといわれます。そういった人が高齢になるとさらに鈍くなり、認知症を発症しやすくなるのです」 脳への刺激は認知症の予防や改善に重要。特に筋肉からの刺激は脳に直接かつ強力に作用するため、もっとも意味があると本山さん。 脳と筋肉をつなぐ感覚神経を改善することが認知機能向上のカギとなると考え、たどりついたのが“負荷が強めの筋トレ”だった。 「1gより1kgのものを持ったほうが重たいと感じるように、筋肉にかかる負荷が強いほど脳が刺激を感じやすい。 研究実験としてMCIの被験者に週1回3か月、強めの筋トレを指導したところ記憶能力が2.5倍となり、すべての被験者の認知機能が正常レベルとなりました。同時に実施した健常者の記憶能力も1.5倍と改善しています」