日米通算２０１勝目をあげたパドレス・ダルビッシュ有投手（ロイター）

◆米大リーグ　マリナーズ３―７パドレス（１０日・米ワシントン州シアトル＝Ｔモバイルパーク） 　パドレスのダルビッシュ有投手（３８）が１０日（日本時間１１日）、敵地のマリナーズ戦に先発。５回２失点で５月１９日のブレーブス戦以来、１１４日ぶりの白星となる５勝目を挙げた。日米通算２０１勝目で、日本人メジャーリーガー“パイオニア”野茂英雄に並ぶ歴代２位タイとなった。 　ダルビッシュが試合の途中で“別人”となった。この引き出しの多さこそ真骨頂だ。１、２回と速いスライダーを捉えられ、ソロアーチを許していた。３回から“封印”した。「速いスライダーを狙われていたので。途中からそれを使わなくなって、相手もちょっと迷い出した。３回から自分も感覚がだいぶ良くなった」 　タティスの逆転３ランが飛び出した直後の３回、２者連続安打で無死一、二塁となってから直球系を中心とした組み立てに変更。２、３、４番を相手に全て直球を勝負球にそれぞれ３球斬り。危機を切り抜け、流れを呼んだ。「良かった。打者の反応を見てもそう。左打者の内角のツーシームとか、外に抜けたやつも結構変化をしてくれてたので」と満足そうに振り返った。 　５月末に負傷者リスト（ＩＬ）入りし、その後、家族に関する個人的な事情で制限リストに移行。今月４日（同５日）のタイガース戦での復帰登板から２戦目でうれしい１勝が舞い込んだ。「またこうやって戻ってきて勝てるとは。そこまで考えていなかったので、こんなすぐにチームメートが勝ちをつけてくれてすごくうれしい」と感謝した。 　野茂に並んだことには「数字では同じなんですが、投げていた時代だったり、置かれていた状況は自分とまったく違うので。そういう意味でのすごみというか、まだまだ手が届かないなとは正直思うので。人間的にも近づけるように頑張りたい」と敬意を払った。黒田博樹の持つ日本人最多の日米通算２０３勝まであと２。頂を目指す上で止まっていたダルのカウントが動き出した。