スポーツクライミング 東京五輪 銅メダリスト・野口啓代 当時の思いを語る「4年間競技を続けられるのか葛藤がありました」
アニメ「【推しの子】」MEMちょ(めむちょ)役でも知られる声優・大久保瑠美がメインパーソナリティをつとめる、TOKYO FMとJFNが運営する音声サービス「AuDee(オーディー)」番組「大久保瑠美 321ヘルツのじかん」(毎週水曜18時配信)。 マンスリーパートナーや週替わりのゲストとともに、愛しているもの、こだわり、好きなことなどについて語り、「321ヘルツ」という特別な周波数でしか聴けないような、ここだけのトークをお届けします。8月は、声優・駒田航(こまだ・わたる)さんがマンスリーパートナーを担当します。 8月21日(水)の配信では、ゲストにプロクライマーの野口啓代(のぐち・あきよ)さんが登場。ちょうど2024年パリオリンピックで盛り上がる中、2020年東京オリンピック(以下、東京五輪)に関するエピソード、クライミングの魅力などについて語ってくれました。
◆東京五輪出場への思いを振り返る
野口さんはスポーツクライマーとして数多くの記録を樹立。ワールドカップ優勝は21回を数え、「日本クライミング界の女王」と称されています。スポーツ好きな駒田さんは「スポーツクライミングが世に知れ渡るようになった立役者の代表格です」と説明。 野口さんは小学5年生の頃に家族旅行先のグアムでフリークライミングに出会い、クライミングを始めてわずか1年で全日本ユースを制覇します。数々の輝かしい成績を残し、2008年に開催されたボルダリング・ワールドカップで日本人初の優勝。2018年にはコンバインドジャパンカップ アジア競技大会で金メダルを獲得。自身の競技人生最後の舞台となった東京五輪で銅メダルを獲得し、現役を引退。現在はプロクライマーとして活躍しています。 スポーツクライミングの発祥はヨーロッパにおけるロッククライミングですが、国際的にメジャースポーツとして広がりを見せたのは2000年頃。近年、急成長を続けている競技です。オリンピックのスポーツクライミング競技が実施されるのは東京五輪が初でした。 追加種目への正式決定が発表されたのは2016年で、野口さんは競技への招致活動にも携わっていました。「当時の私は26歳。そこからさらに4年間競技を続けられるのか葛藤がありました。30代の自分のイメージがつかなかったのと、当時、女性で30歳を過ぎて活躍している選手がいなかったんです」と振り返ります。 東京五輪のスポーツクライミングでは、3つの複合種目(ボルダー・リード・スピード)が実施され、3種目の合計点で順位が決定しました。これまでスピードの種目に挑戦してこなかった野口さんは、ゼロからのスタートに不安な気持ちを抱えていたと明かします。 スピードの競技は毎大会同じ条件で高さ15m、95度に前傾した壁にセットされた同一の2本のルートを、2人の選手が隣り合わせで登り速さを競うトーナメント形式の種目です。 「ボルダリング(ボルダー)とリードはずっとやってきたので経験値がありましたが、スピードは日本でまったく普及していなかったんです。東京五輪で正式種目になるまでは、たぶんスピードの壁は1つもなかったと思います」と野口さん。限られた期間のなかでスピードの強化に打ち込み、最初で最後の五輪競技に挑んだときのことを振り返りました。 そして、クライミングの魅力を問われると“飽きないところ”と挙げた野口さん。「難易度に限界がなく、課題が常に変わります。いつもやったことのない動きがあり、何年やっても新しい発見があります。すごく奥が深いですし、やればやるほどハマっていくのがクライミングだと思います」とコメント。 注目度が増すクライミング。2028年のロサンゼルスパラリンピックの競技として初めて採用されることをうけて、「ロスでは、オリンピックとパラリンピックの両方をぜひ応援してもらえればと思います」と力強くアピールしました。