愛知県の離島に、廃業して放置されたホテルがあります。 長年、立ち入り禁止となっているこの建物に、特別に立ち入りが許可されました。 【写真を見る】廃業して放置された観光ホテルが借りられる?　市が年間約15万円で貸し出しへ　1日約7000円で借りられる無人島も そこには、地元が抱える課題がありました。 草が生い茂り、通り道ですらない場所を進む取材班。 その先にあったのは・・・まさに「廃墟」という雰囲気の建物。 中に入ってみると… 天井ははがれ落ち、階段は抜け落ちて歩けない状態。 床には一面にほこりが積もっています。 （平野菫記者） 「黒電話が…初めて見ました。ダイヤルでチャンネルを変えるテレビ」 ここは、愛知県西尾市の佐久島にある、旧「佐久島観光ホテル」。 地元の人によると、40年以上前に廃業して放置され、現在は寄付を受けた西尾市が管理しています。 （西尾市 資産経営課 石原貴文さん） 「取り壊した後のがれきも島の外へ持って行かないといけないので。かなりの費用が解体にかかり、それで頓挫している。困っている」 （佐久島の住民） 「できれば取り壊してほしい、危ない」 老朽化の進んだ危険な建物が長年に渡って放置された背景には、佐久島が抱える課題があります。 （レンタル自転車店の店主） 「（観光客は）土日なんて数えるほど。困る、困る。（自転車も）さびちゃってる。使ってないから」 30年ほど前から、アートによる島おこしに取り組んできた佐久島。 一時、観光客は年間10万人を超えるまで増加しましたが、新型コロナなどの影響で近年は8万人ほどに。 また、住民の半数以上が65歳以上で、町おこしの担い手不足も深刻です。 こうした状況は佐久島だけでなく西尾市全体も同じで、これを改善しようと市は4月から新たな取り組みをスタートさせました。 （西尾市 資産経営課 石原貴文さん） 「民間の方に貸したいと思っている」 この廃ホテルをはじめ、市の所有地や建物を民間企業などに貸し出す制度を始めたのです。 この廃ホテルの場合、費用は年間約15万円です。 （西尾市 資産経営課 石原貴文さん） 「無人島のレンタルも」 また、今回の制度では、無人島の「梶島（かじしま）」も対象になっています。 1日約7000円、最長で原則3年まで1つの島をまるごと借りられます。 （西尾市 中村健市長） 「（貸した場所で）経済活動が起こるとか、賑わいが創出されることで街の発展につながっていく」

このほかにも、使われなくなった役場や、廃止された子育て支援センターなど、市が所有する建物や土地全てをレンタルの対象としていて、すでに3件ほど問い合わせが入っているとのことです。 （西尾市 中村健市長） 「ワクワクしすぎて困っちゃうようなアイデアが来ると面白いなと期待している」