清原果耶主演『マイダイアリー』は傑作間違いなし? 脚本家・兵藤るりの作家性を読み解く
清原果耶主演の連続ドラマ『マイダイアリー』が10月期のABCテレビ・テレビ朝日系「日10ドラマ枠」で放送されることが、8月1日に発表された。 【写真】『霊媒探偵・城塚翡翠』では“悪女”にもなった清原果耶 2023年4月期から開始したこのABCテレビ制作・テレビ朝日系列放送の日曜22時枠、通称「日10」枠。『日曜の夜ぐらいは...』(脚本:岡田惠和)、『何曜日に生まれたの』(脚本:野島伸司)など、ベテラン勢が執筆する枠としてスタートし、昨今では主に中堅脚本家が腕を振う枠となってきた。 その「日10」枠(本作から22時15分スタート)で10月からスタートする『マイダイアリー』を執筆するのは、2020年にミニドラマ『就活生日記』(NHK総合)でデビューした新進気鋭の脚本家、兵藤るり。キャリアとしては「若手」ということになるが、確かな筆力を持つ脚本家である。代表作『わたしの一番最悪なともだち』(NHK総合)は2023年10月度ギャラクシー賞月間賞を受賞したほか、2021年には坂元裕二脚本の『大豆田とわ子と三人の元夫』(カンテレ・フジテレビ系)のチェインストーリーを手がけ、2022年には『初恋の悪魔」(日本テレビ系)の脚本協力&Huluオリジナルストーリーを担当している。 拙稿「『わたしの一番最悪なともだち』の“ともだち”とは誰? 脚本・兵藤るりの卓越したセンス」でも述べたが、兵頭は、キャリアわずか4年とは思えない、人間の「核」の部分を細やかな台詞選びで描き出す偉才である。『わたしの一番最悪なともだち』では、「わたしらしさ」という言葉に苦しむ主人公・ほたる(蒔田彩珠)の就職活動と社会人生活の日々をしなやかに描き出した。最新作『マイダイアリー』でも、大学時代と社会人になってからの、主人公をはじめとする男女5人の若者たちの日常が描かれるという。 さらに、兵頭が書く繊細かつ機知に富んだ台詞が、若手俳優のなかでも極めて演技力が高いことで知られる清原果耶の口から、どのように発せられるのか、今からとても楽しみだ。清原の地上波ドラマへの主演は『霊媒探偵・城塚翡翠』(日本テレビ系)、『invert 城塚翡翠 倒叙集』(日本テレビ系)以来、2年ぶりとなる。 ところで前述のとおり、本作は大阪に本社を置くABCテレビが制作している。系列は異なるが、カンテレが制作しフジテレビ系列で放送されている「月10」枠も、『エルピス―希望、あるいは災い―』や『アンメット ある脳外科医の日記』など、数々の名作を生み出している。東京キー局なら採択しないであろう企画の大胆さとユニークな持ち味を誇る「関西準キー局」が制作を行うドラマという点においても、期待度が高い。 公式コメントで主演の清原は、「大切な思い出の数々を、包んでくれるような作品になる予感がしています」と語り、脚本の兵藤は「清原さんが注いでくださるであろう熱量に負けぬよう、わたしも脚本の一文字一文字に魂を込めました」と語った。若者たちの青春群像劇を題材にしながらも、「人生」や「やさしさ」といった普遍的なテーマを描く良作になるのではないかという予感がしている。放送を楽しみに待ちたい。 参照 ※ https://realsound.jp/movie/2024/08/post-1736272.html
佐野華英