友達内閣を拒否した阪神・金本新監督の覚悟
阪神の金本知憲新監督(47)が多くの注目を集めて始動している。初日に安芸キャンプを訪れたが、ネット裏は2000人を越えるファンで満員。関係者の多くが、「ここ数年なかったこと」と、金本の存在感とその期待感に驚きの声を挙げていた。3日はサプライズで紅白戦を行い、走塁やチームバッティングに細かい指示を与えるなど、今季までのチームに足りなかったもうワンピース、ツーピースを埋める作業に積極的に動いた。 コーチングスタッフには、2003年、2005年の優勝を経験した矢野燿大(47)、片岡篤史氏(46)、今岡誠(41)、金村暁(39)、平野恵一(36)らをすべて金本新監督自身が要望、自らが打診する形で揃えた。だが、今回、新聞辞令で名前が挙がりながらも入らなかった2人の人物がいる。 広島、巨人OBで元キャッチャーの西山秀二(48)と、ダイエー、日ハム、阪神OBの元左腕、下柳剛(47)の2人だ。西山氏は、広島時代に金本と一緒にプレー、ベストナイン、ゴールデングラブを受賞、その後移籍した巨人ではコーチ業も経験していて指導者としての評価も高い熱血漢。下柳氏も、2003年、2005年の優勝メンバー。コーチ経験はないが、現役時代に様々なトレーニングに挑戦、40歳を超えても結果を出し続けた卓越した理論は指導者としての素養を感じさせる。 金本新監督にとって西山氏は、現役時代から頼りにしていた先輩であり、下柳とも現役時代から親交が厚い。2人とも互いに信頼を寄せている。金本新監督が言う「情熱があって、選手を育てる、練習に付き合う、そして僕に付いてきてくれる」というコーチ像に重なっているにも関わらず、今回、あえて西山氏、下柳氏への入閣要請をしなかった。 なぜなのか。その理由は、「お友達内閣ではチームは強くならない」という金本の固い決意だ。 金本氏は、監督交渉を行っていた際、球団との意見交換の中で、阪神の持つ体質について苦言を呈していた。それは、フロント、コーチも含め、阪神の組織に充満している、生ぬるい甘えの体質である。 「監督、コーチ、一軍も二軍もフロントも結束して戦うチームを作っていきたい」と考える金本新監督は、コーチングスタッフの構成が、非常に大切だと考え、仲の良すぎる西山氏、下柳氏の入閣を今回は、あえて見送り、現役時代から厳しさに定評のある矢野氏、片岡氏をスタッフに入れ、「本音で話ができて苦言も呈してくれる人」と、掛布雅之2軍監督の実現も、球団にかけあった。