進む技術革新 ファウラーが3Dプリンターで作られた新ウェッジを実戦投入
PGAツアーのスター、リッキー・ファウラーが今週の「ザ・アメリカンエキスプレス」でカスタムのロブウェッジを変更することで、ゴルフギアの最前線に技術革新をもたらした。 【画像】畑岡奈紗の開幕戦クラブセッティングはこちら!
大多数のウェッジ、あるいは一般的なゴルフクラブは鋳造、鍛造、ミーリング、あるいはそれら工程の組み合わせで製造されるものだが、ファウラーの新しい60度“RF”ウェッジは、3Dプリントされた上で、彼の仕様に完璧に合わせるためのミーリングが施されたのである。 コブラゴルフはヒューレット・パッカード(HP)、そして金属工学を専門とするパーマテックと提携し、3Dプリントされたパターを作り始めた2018年以来、3Dプリントで製造されたゴルフクラブの分野で先頭を走ってきた。簡単に説明すると、これはHPのメタルジェット3Dプリンターを使用し、CAD(コンピューターによる設計システム)を応用して粉末状の金属を物理的なクラブヘッドに転化させることで、クラブヘッドを構築するという手法である。コブラの狙いは鍛造、あるいは鋳造ではなく、3Dプリントすることでオリジナルの設計により忠実にクラブを製造し、あわよくば耐久性も上げようというところにある。 2018年以降、キング3Dプリンテッドパターシリーズなど、コブラは3Dプリントされたパターを一般向けに販売してきたが、同社はアイアンやウッドについても調査の手を広げてきた。 そして、今週の「ザ・アメリカンエキスプレス」で、ファウラーは自分の好みに完全に合致するよう3Dプリントされた真新しいロブウェッジを実戦デビューさせるのである。
コブラのツアーオペレーションマネジャーのベン・ショーミンによると、ファウラーの新しい3Dウェッジの設計プロセスは、彼がそれまで使用していたコブラキングのロブウェッジのソールとバウンスの構造を変えようと模索し始めた6カ月ほど前に始まったとのこと。 ショーミンは「ザ・アメリカンエキスプレス」の火曜、GolfWRX.comに対し「彼は確か、ソール形状の微調整に6カ月は丸々費やしていた。彼は、以前はカッチリしたラインのグラインドを使用していたが、それがかなりソフトなラインとなり、その後もどんどんソフトな形状になっていった。カッチリした線があれば、より簡単に見て計測することができる。(3Dプリントのプロセスを使用するようになった)今はもっと簡単に再現し、複製することができる。彼のウェッジのグラインドは、より大きなキャンバー(凹みのような反り)を欲するようになったことからどんどん丸みを帯びていったので、遂には『3Dスキャンし、プリントすれば完璧にできるからそうしよう』ということになった」と述べた。 キャンバーの大きな丸みを帯びたウェッジはグリーン周り、そしてフルショットにおいて、クラブがターフに刺さらず、より簡単にスライドする。このため、コブラはファウラーが心地よく満足して使用できるウェッジヘッドのプロトタイプを微調整しながら作り上げた上で、そのプロトタイプウェッジを3Dスキャンし、3Dプリントされた複製版を製造したのである。そして、今週、砂漠で行われる大会に臨むファウラーのバッグには、そのうちの1本が入っているというわけだ。 「我々は常に、スクエアなショットで十分なバウンスが得られるよう取り組んできた。そうすることで、彼がフェースをスクエアにして50ヤードのショットを打つ際にリーディングエッジがターフに埋まらないようになる。同時に、彼がグリーン周りでフェースをオープンにして構えた際は、リーディングエッジがターフから浮き過ぎないようにしなければならない。ただし、それでもいくらか有効なバウンスは必要となるので、とにかく彼にとって適切な微調整を施すことが重要だった」とショーミンは述べた。