【関西演劇祭】ベテラン演出家と若手の総合力、てっぺん狙う3劇団
「関西発信でスターを発掘する!」というコンセプトで2019年に始まった小演劇の祭典『関西演劇祭』が11月11日より開催。5回目となる今年の参加劇団の魅力を、演劇プロデューサーで同演劇祭の劇団アドバイザーを務める藤原治基さんに訊いた。 【写真】ベテランと若手で作るほかの劇団 同演劇祭は、フェスティバル・ディレクターの板尾創路をはじめ、映画監督やテレビの番組プロデューサーらが審査員として協力。これまで参加した役者や作家は、ドラマ・映画の出演や脚本を担当するなど活躍の場を広げており、関西演劇界のカンフル剤となっている。 書類審査・映像審査などをクリアし、参加できるのは10団体。なかでも、勢いある若手の俳優らをベテランの演出家が支えて大賞を狙う3つの劇団に注目した。 ■ Artist Unit イカスケ 【藤原コメント】 今回は若手注目俳優を引き連れて、イカスケらしいコテコテコメディで挑む。 【劇団コメント】 『関西演劇祭』は最もチャンスの多い演劇祭だと思っています。今回、共に臨む有望な役者さんたちが大いに羽ばたくキッカケとなるよう、全力で挑みたいと思います。 【上演する演目】『フェイク・アウト・ハーモニー』 ライブハウスと協力し、役者のみならずさまざまなジャンルのプレイヤーと共に「演劇の裾野を広げる」を合言葉に立ち上げた企画の4作目。「観劇好き、観劇初めて、両方のお客さまに楽しんで貰う」を追求し続け、最も好評を得た作品。 【主な実績】2020年 関西演劇祭 作・演出・出演:青木道弘 審査員特別賞 ■ MousePiece-ree 【藤原コメント】 マジメに全力でコメディをおこなうアラフィフ3人と若手がどう絡めるか? 注目のコラボレーション! 【劇団コメント】 賞レースの演劇祭なんて苦手中の苦手ですので、とにかく繋がって繋がって、MousePiece-reeを知って欲しいと思います! 【上演する演目】『しのぶ魂』 今までは3人だけで15~20分の作品でしたが、いつかしのぶ役の人を出したいと思っていて、この演劇祭で45分がちょうどいいのでは、と参加させてもらいました。 【主な実績】2002年、養成所で知り合った森崎正弘、早川丈二、上田泰三の3人が、何かもっと独特な面白いことができないかとユニットを結成。2012年 十周年記念興行は動員1000人を達成2013年 東京での初公演を敢行 ■ 無名劇団 【藤原コメント】 『2008年 全国高校演劇大会』準優勝となった今作を20代の俳優たちでリメイクした色褪せない青春群像劇に注目! 【劇団コメント】 高校演劇作品と馬鹿にすること勿れ! 作品の魅力、大阪の若手俳優の魅力をしっかりと届けしたいと思います。 【上演する演目】『あげとーふ』 15年前、劇団の母体である高校演劇部には、愉快で元気な男子がたくさんいた。休憩時間には腕相撲ではしゃぎ、稽古でも毎回何かを仕掛けてくるエネルギーの塊たち。そんな彼らが地区大会、大阪府大会、近畿大会、全国大会と、約1年かけて育ててきた作品を、満を持してリメイク上演する。 【主な実績】2002年結成。同作は高校時代に脚本の中條岳青氏が書いたものを脚色したもの。2008年 テアトロ新人戯曲賞 『あげとーふ』佳作2015年 應典院舞台芸術祭space×drama 『無名稿 あまがさ』優秀劇団2016年 WINGCUP6 『恋人はビッグフット』優秀賞2022年 池袋演劇祭 『プラズマ-再臨-』豊島新聞社賞・CM大会賞 ◇ 各演目の上演時間は45分で、期間中に各劇団は3ステージずつ上演。各回ともに審査員に観客を交えたティーチイン(討論会)が実施される。 『関西演劇祭2023』は11月11日~19日に、「COOL JAPAN PARK OSAKA SSホール」(大阪市中央区)にて開催。チケットは一般4000円、学生3000円(当日は各500円増)ほか。