「賃上げ5%」を獲得したら何に使う? いまこそ実行すべき5つの資金戦略
33年振りに5%超の増加になるなど、大手企業を中心に賃上げが広がっている。 確かに賃上げしないよりは、したほうがずっといい。だが、そもそも賃上げというのは、そんなに喜ぶべきものなのだろうか? 実際、賃上げが継続すれば、現在進行している物価上昇がさらに進む可能性がある。それに備えた資金戦略を5つ考えた。 日本でも賃上げが大手企業を中心に広がっている。 日本労働組合総連合会(連合)が公表した2024年春闘の第1回集計結果では、賃上げ率が33年振りの5%超の増加となった。また、政府も各企業に賃上げを促しており、今後も継続していく可能性が高そうだ。 だが、そもそも賃上げというのは、そんなに両手を上げて、喜ぶべきものなのだろうか? 確かに賃上げしないよりは、したほうがずっといい。だが、余裕ができたからといって、その分、無邪気に生活レベルを上げることの愚かさを、我々日本人は身にしみて理解しているはずだ。 実際、賃上げが継続すれば、現在進行している物価上昇がさらに進んでいく可能性がある。そうなれば、否が応でも中長期で生活費が増えてしまう。 また、日銀がゼロ金利を解除したことで、今後金利が上昇していく可能性もある。そうなったら、返済・借入・運用など資産形成戦略をどのように采配すべきか、中長期な視点で再検討しなくてはならない。 とはいえ、具体的な資金戦略は、それぞれの生活によって異なる。ただ、比較的多くの人に参考になりそうな戦略は、以下の5つだ。
1. しっかりと蓄えておく
賃上げがあった場合、今後に備えて、まずは貯蓄に回した方がよい場合もある。それは、主に以下の2つのタイプの人だ。 生活防衛資金が不十分な人:そのような人は、まずは生活防衛資金の構築を最優先とすべきだ。長い人生では何が起きるかわからない。だからこそ、いざという場合に備え、現金である程度の資金を保有しておくべきだろう。 ましてや、賃上げが継続すれば、さらに物価も上昇する。すると生活費も増加して、ますます生活防衛資金の必要性も高まるはずだ。生活防衛資金として目標とすべき金額は、専門家によって意見が分かれる。ちなみに、最低でも手取り金額の6カ月分は必要だというのが、筆者の見立てだ。 近いうちに大きなライフイベントがある人:結婚式が間近だ、子どもの進学が迫っている、住宅を購入する予定があるなど。まとまった資金を要するライフイベントが近い人は、その資金として確保しておくことも検討したい。 まず、それらにいくら費用を要するか、事前に確認しておこう。予算組みからはじめるのは、プロジェクト運用のセオリーだ。ただ、実際には、予算以上に費用がかかる場合もある。今後、さらに物価が上昇する可能性が高まってきたからだ。そうした観点からも、余裕をもってライフイベント用の資金は確保しておきたい。