佐川満男さん死去、84歳 紅白出場4度、68年「今は幸せかい」大ヒット 最後の出演映画「あまろっく」公開を待たず12日に…
ヒット曲「今は幸せかい」で知られる歌手で俳優の佐川満男(さがわ・みつお)さんが12日午前3時14分、胆のう炎のため神戸市内の病院で死去したことが20日、分かった。84歳だった。葬儀は近親者で執り行われた。歌手だけでなく、役者としても多数のドラマや映画に出演。画家としても個展を開くほどの腕前を発揮していた。歌手として人気と低迷を経験、離婚や一時廃業を経て、俳優へと転身した波乱の人生に幕を閉じた。 【写真】佐川満男さんと伊東ゆかり(1971年4月13日撮影) 歌に芝居と多彩な才能を発揮した佐川さんが天国へと旅立った。 関係者によると、生前は体調が悪く自宅から通院はしていたが、3月中旬に入院。容体が急変し、最期は夫人が看取ったという。 19日に公開された映画「あまろっく」(中村和宏監督)にも出演していた。昨年の撮影中も高齢からくる体調不良を訴えたが、何とか完走。作品への影響を配慮して、公開日を待ってからの発表となった。 佐川さんは1960年に「佐川ミツオ」名義で「二人の並木径」で歌手デビュー。その後、「無情の夢」「ゴンドラの唄」「背広姿の渡り鳥」などヒット曲を連発し、68年には本名の「満男」名義で中村泰士さん作詞作曲の「今は幸せかい」が大ヒット。NHK紅白歌合戦には4度出場した。 俳優としても、NHK連続テレビ小説「オードリー」「マッサン」「カムカムエヴリバディ」、TBS系「水戸黄門」など多くのドラマで活躍した。2003年に胃がんの手術を受け、胃の3分の2を切除。その後もコンサートを開くなど精力的に活動していた。関西を拠点とし、中村さんと読売テレビ「大人はおとな」やMBS「ちちんぷいぷい」などに出演、お茶の間の人気者だった。 私生活では1971年7月に歌手の伊東ゆかり(77)と結婚。一人娘の歌手の宙美(ひろみ)を授かったが、75年5月に離婚した。大阪・北新地にステージを備えたクラブ「ルーマーハウス・アスク」をオープンし、同6月に歌手廃業を宣言。88年に再婚した夫人とは一度離婚したが、母(2000年に99歳で死去)の介護を助けてくれたのを機に復縁した。 昭和の歌謡界を彩った佐川さん。甘い歌声で刻んだメロディーラインは永遠に歌い継がれるに違いない。