鶴居の鶴見台にカナダヅル飛来
北海道の鶴居村下雪裡の「鶴見台」に昨年12月中旬ごろから、日本ではめったに見られない渡り鳥「カナダヅル」が1羽、飛来している。鶴見台の「灰一点」は、鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリで同時期から確認されている1羽の「マナヅル」と合わせて、野鳥愛好家たちから「鶴居のマナカナ」として注目を集めている。 カナダヅルは体長が約80~120㌢で、ほとんどが淡水の湿地に生息し、主に北米やカナダ、シベリアで繁殖する。冬はアメリカ大陸を南下して、フロリダやテキサスなどで越冬する。 日本での確認は年に数羽ほどで、道内では昨年秋から今年にかけて、日高管内に2羽がナベヅル1羽と共にいるのが目撃されている。村教育委員会の音成邦仁さんの調べでは、鶴居での確認は2010年9月以来13年ぶり。 NPO法人タンチョウ保護研究グループ(釧路市)の百瀬邦和理事長によると、カナダヅルは近年、ユーラシア大陸の東端から西方にかけて生息域を広げつつあるという。百瀬理事長は「何かしらの理由で群れからはぐれ、ガンやハクチョウなど大型の水鳥と一緒に北海道へ飛来し、生活スタイルが自分により近いタンチョウの群れと合流して鶴居へ来たのでは」と推測する。 1月29日も、鶴見台でタンチョウたちと一緒に餌をついばんでいて、その珍しい光景に、多くの観光客らがカメラを向けていた。鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリの原田修チーフレンジャーは「これまでに飛来したカナダヅルは、給餌場に定着したことはなかった」と驚いていた。
釧路新聞