単独トップの湘南乃海は小6で189センチ「相撲界はお前を必要としている」15歳で入門たたき上げ26歳
◆大相撲 ▽夏場所11日目(22日、東京・両国国技館) 東前頭10枚目・湘南乃海が単独トップに立った。西同16枚目・宝富士との2敗対決を小手投げで制した。神奈川・大磯町出身で中学卒業後に角界入りした、たたき上げの26歳。同県勢65年ぶりの優勝へ向け、首位をひた走る。湘南乃海を1差の3敗で追うのは琴桜、大の里、平幕の大栄翔ら6人となった。 【夏場所】番付&星取表 勝負を決めた瞬間、フッと息を吐いた。トップ2敗で並んでいた宝富士との一番。立ち合いで左を差されたが、相手の右上手を許さず、左腕を抱え込んで小手投げ。優勝争いの緊張感でも「集中できて良かったと思います」と相手に得意の形をつくらせず、冷静な取り口で2敗を守った。結びでは同じく2敗の大の里が敗れ、単独トップに躍り出た。 祖父、父の影響で中学まで野球を続け、投手として活躍した。当時、角界入りへの思いはなかったというが、小学6年時ですでに189センチあった少年は、周囲から「相撲界はお前を必要としている」と勧められ、高田川部屋を見学。「率直にかっこいいと思った」と筋肉質な力士に憧れ、中学卒業を機に15歳で高田川部屋の門をたたいた。 2014年春場所で初土俵を踏み、16年九州場所で幕下に昇進したが、そこから6年間足踏みが続いた。追い込まれた時に安易にはたいてしまうクセが抜けなかった。「相手の中に入っていく」と攻めの相撲を磨いてから、23年初場所で新十両、同年名古屋場所で新入幕と一気に飛躍を遂げた。 入門から10年、たたき上げの26歳。先場所110年ぶりに新入幕優勝を果たした尊富士は日大出身で1学年下、新小結の大の里は日体大出身で2学年下にあたる。エリート街道を歩む学生出身力士の活躍が著しいが、「今に見てろという感じですね」と春巡業では同世代にライバル心を燃やしていた。 V争いは1差で6人が追う。優勝すれば神奈川県出身の力士では1959年九州場所の若羽黒以来、65年ぶりで3人目。八角理事長(元横綱・北勝海)は「どっしりしている。体は大きいし、体を生かしている」と評価。「一日一番、集中して頑張ります」。湘南乃海が初の賜杯へ残り4番に全力で臨む。(大西 健太) ◇湘南乃海 桃太郎(しょうなんのうみ・ももたろう) ▽本名 谷松 将人 ▽生まれ 1998年4月8日、神奈川・大磯町生まれ ▽スポーツ歴 野球を小3から大磯山手スパークスでプレーし、投手で4番。大磯中でも野球部 ▽入門後 初土俵は高田川部屋から14年春場所。新十両は23年初場所。新入幕は同名古屋場所。最高位は同秋場所の前頭5枚目 ▽得意 左四つ、寄り、押し。 ▽趣味 動画観賞、漫画(特に湘南が舞台のスラムダンクが好き) ▽好きな音楽 湘南乃風 ▽しこ名の由来 地元にちなみ命名。桃太郎は強い相手を鬼とし、退治する意味を込めて ▽サイズ 194センチ、190キロ
報知新聞社