王だけが知る、兄弟の想い人 イ・ミノ“ヤンミョングン”が浮かべる悲しい表情のワケ<太陽を抱く月>
キム・スヒョンが主演を務める韓流ドラマシリーズ「太陽を抱く月」(Huluにて配信中)。権力をめぐって陰謀が張り巡らされる朝鮮王朝の宮中で、運命に導かれるように恋をした2人のラブストーリーを描いた大人気ドラマシリーズだ。第3話では、主人公イ・フォン(子役:ヨ・ジング)とヒロインであるホ・ヨヌ(子役:キム・ユジョン)の距離がついに縮まるようすが見られた。本記事では、考察を踏まえながら第3話を振り返る。(以下、ネタバレを含みます) 【写真】聡明なキム・ユジョン“ヨヌ”たちが語る未来図 ■ホ・ヨヌを取り巻く政治とイ・フォンの熱意 宮廷で出会ったユン・ボギョン(子役:キム・ソヒョン)とホ・ヨヌを気にしていたチャン・ノギョン(チョン・ミソン)だが、ひとまず本来の用事である大王大妃(テワンテビ)・ユン氏(キム・ヨンエ)との謁見に臨む。するとユン氏は、ユン・ボギョンとホ・ヨヌを指して「2人のうち、王妃の相を持つ者を挙げてほしい」とチャン・ノギョンに問う。 一方、ユン・ボギョンとホ・ヨヌはある部屋に集められていた。「不愉快な初対面だったけど、今後は仲よくしましょう」とホ・ヨヌが語り掛ける。2人は以前にも出会ったことがあり、その時はホ・ヨヌに仕えていたソル(子役:ソ・ジヒ)がユン・ボギョンの従者に無実の罪で疑いをかけられていた。そこをホ・ヨヌが無実を証明し、ギクシャクした関係になっていたのだ。これを受けたユン・ボギョンは小さく笑う。 「王宮では敵をつくってはならない。仮に敵だとしても、仲間のようにふるまうのだ。お前の本心を隠し、悟られるな。それが政治だ」と語っていた父の教えを守るユン・ボギョンは、笑みをつくって頷く。内心はともかく、ホ・ヨヌと仮初の友人を演じることを決めたようだ。 一方、ミナ王女(子役:チン・ジヒ)の学友となる相手が宮廷にやってきたと報告を受けたイ・フォン。ホ・ヨヌが宮廷に来たことを知って喜び、なんとか彼女と密会できないか思案する。しかしその相談を受けたイ・フォンの従者ヒョンソンは、厳重な警備と今日の予定が詰まっていることを理由に密会は不可能と力説。そして「先日の脱走事件をお忘れですか?罰として殴られた私の尻はまだ治っていません」とイ・フォンに危険な真似はやめるように諭す。 だが、そんな言葉で止まるイ・フォンではない。これまでヒョンソンとの付き合いで自分が助けたことを列挙し、ヒョンソンを半ば強引に従えるのだった。 ■チャン・ノギョンが見た“2つの月” イ・フォンは、ヤンミョングン(子役:イ・ミノ)が宮廷でついに再会を果たす。異母兄弟であり身分の差がある2人だけに、なかなか会うこともできなかったのだ。久しぶりの会話に花を咲かせつつ、予定にあった官庁対抗の玉蹴り大会にヤンミョングンも参加させるイ・フォン。キム・ジェウン(子役:イ・ウォングン)、ホ・ヨム(子役:イム・シワン)も集まり、試合が始まる。 ヒョンソンから半ば強引に玉蹴り大会の話を聞いたミナ王女は、ホ・ヨヌを連れて兄たちが参加している大会の観戦に向かう。そんな順調に進んでいる大会の裏で、大王大妃(テワンテビ)・ユン氏の行動は続いていた。チャン・ノギョンに問うた「王妃の相を持つ者を挙げてほしい」という質問に、チャン・ノギョンは「お望みは叶えられます」と答える。 狙い通り自分が送り込んだユン・ボギョンが栄達すると知り、ユン氏は笑みを見せた。だがユン氏のもとを後にしながら、チャン・ノギョンは「なんという運命のいたずらか」と独白する。王妃の相を持ちながら栄達しない者、王妃の相を持たぬのに栄達する者。“2つの月”がたどる運命に、顔を厳しくゆがめるのだった。 玉蹴り大会の最中、ヤンミョングンとホ・ヨヌの視線が交わる。いや、正確にはホ・ヨヌはイ・フォンのことを見ていることを察したヤンミョングン。そして「皆が世子に付いても、ヨヌさえいてくれればいい」と心のなかで呟き、寂しそうな表情を浮かべる。 ■ヤンミョングンの願いとイ・フォンの行動 ミナ王女が玉蹴り大会の観戦を終えて部屋へ戻る際、父王であるソンジョ(アン・ネサン)と出会う。「学友と楽しんでいるか?」というソンジョの問いに、ミナ王女は「この者が好きです」とホ・ヨヌの手を取る。ソンジョは2人に良き学友であってくれと笑顔を見せた。 ソンジョは続けて「温室樹を口にしてはならんぞ」と伝え、ホ・ヨヌとユン・ボギョンに意味はわかるかと問う。答えられないユン・ボギョンは謝罪しながら、父の教えと自分が学んでいるものをソンジョに伝える。一方ホ・ヨヌは、「王宮内での出来事は漏らすなということです」と故事にまつわる話であることを説明。ソンジョは満足そうにうなずき、「物知りだな、そのとおりだ」と言ってその場を去る。 その後、ヤンミョングンが父であるソンジョをあいさつのために尋ねた。しかしソンジョは「何をしに来た」と冷たく問う。ヤンミョングンは「私からささやかな願い事がございます」と話し、「慕う者がおります」と伝えた。冷遇されてはいても、ヤンミョングンは王様の血縁。「万が一、私の婚礼について計画がおありなら、どうか私の気持ちも考慮してください」と必死に訴えるのだった。 哀しい表情で「これが厚かましくも王様に申し上げる最初で最後の願いです」と続けるヤンミョングンに、「どこの家の女だ?」とソンジョが答える。受け入れられるとは思っていなかったのか、信じられないといった表情を浮かべるヤンミョングン。「弘文館大提学の娘、ホ・ヨヌです」と告げると、ソンジョは「わかった。考えておく」と答えた。 ヤンミョングンは心の底からそれを喜び、ソンジョの部屋を後にする。1人になったソンジョは、「愚か者め」と静かにつぶやく。「王宮に来る際は慎重にと言っただけだ。来るなとは言っていない」終始哀しげな表情を浮かべていたヤンミョングンに持つ、たしかな愛情を吐露するのだった。 だがそのすぐあと、イ・フォンが密会を企てたことを叱りつけるために呼び出したところで事件が起きる。ソンジョがイ・フォンの軽率な行動をとがめたところ、彼がホ・ヨヌのことを慕っていると口にしたのだ。兄弟がそれぞれ同じ相手に好意を持っていると知ったソンジョだが、先に約束したのは兄の方。そしてイ・フォンは兄より重い、王としての使命がある。 「お前は国本(クッポン)なのだぞ。軽率な行動により、その者が政争の犠牲になるのだ」そうきつく言いつけられたイ・フォン。大事にしていたホ・ヨヌからの贈り物である鉢も、ヒョンソンに捨てるよう命じる。王としての責務を思い、未練を断ち切ろうとしているようだ。 王を始めとする多くの人間が参加した清めの儀式。面をかぶった者が何人も陽気に踊る祭りの夜に、ホ・ヨヌは自身へ語り掛ける声を聞く。「離れてください。あなたには荷が重い運命です。縁を築くのはここまで、今逃げるのです」。声の主であるチャン・ノギョンはホ・ヨヌに必死に何度も伝えるものの、ホ・ヨヌは面を被った人物に手を引かれて連れ出されてしまう。 面を被っていた人物はイ・フォンであり、人気のないところで面を取る。「私がわかるか?」とホ・ヨヌに問うと、頷くホ・ヨヌ。「この国の…」と言い淀む彼女に、イ・フォンは「世子だ。名前はイ・フォン」と初めて自身の口で名を告げる。夜空に花火が浮かび、花びらが舞う夜…2人を追って来ていたヤンミョングンは、向かい合う2人の姿を遠くから苦しそうな表情で見つめていた。 ■結びつきが強まり、そして綻びが見え始める第3話 第3話では、少しずつ状況が加速していくようすが見られる。王宮内の事情と政争が描かれ、イ・フォンとホ・ヨヌ、ヤンミョングンとホ・ヨヌという胸が苦しくなるような三角関係が明らかになった形だ。 また視聴者にだけわかるソンジョの苦しさも、物語を彩るスパイスになっている。父としての愛情をたしかに持ちながら、王として兄弟に差をつけなければいけない苦しさはひとしおだろう。そしてその判断は、2人の関係を今後どう左右するのか…。 チャン・ノギョンの不穏な予言も手伝い、暗雲が立ち込め始めた「太陽を抱く月」。Huluにて全20話が配信中だ。