<ブギウギ>趣里“スズ子”圧巻の歌唱に「これこそバドジズ!」 草なぎ剛“羽鳥”との魂のセッション
趣里がヒロインを務める連続テレビ小説「ブギウギ」(毎週月~土曜朝8:00-8:15ほか、NHK総合ほか※土曜は月~金曜の振り返り)。11月30日放送の第44回でスズ子(趣里)が歌った「ラッパと娘」が視聴者の心を掴んだ。(以下、ネタバレがあります) 【写真】梅丸楽劇団、解散… ■客足が遠のき…悩むスズ子 「ブギウギ」は、「東京ブギウギ」などの名曲で知られる戦後の大スター・笠置シヅ子をモデルにしたオリジナル作品。戦後の人々に生きる活力を与えた歌手・福来スズ子の波瀾万丈の人生の物語だ。第9週「カカシみたいなワテ」では、スズ子の周囲に戦争が影を落としていく様子が描かれている。 “ぜいたくは敵だ”の声が大きくなり、梅丸楽劇団も思うような公演ができなくなっていた。スズ子もステージいっぱいに躍動しながら歌うスタイルを否定され、“三尺四方”のマスからはみ出さないよう直立不動で歌うよう指導された。 カカシのように棒立ちになって歌うスズ子に観客もそっぽを向き、梅丸楽劇団の人気は落ちていくばかり。スズ子も自分なりに悩んで考えた末、羽鳥(草なぎ剛)に当時流行していた「蘇州夜曲」を歌わせてほしい、と訴えた。 ■「何をしてるんだい、歌うんだよ」 「あの曲やったらステップを踏まずお客さんを楽しませることができる、思うんです」というスズ子に、羽鳥は「ダメだね、君は心から蘇州夜曲を歌いたいわけじゃないだろう」と、首を縦に振らない。そして、「梅丸は、どうなってしまう…」と言いかけたスズ子の口を封じるように、ピアノで「ラッパと娘」を弾き始めた。 「何をしてるんだい、歌うんだよ」。促され、「ラッパと娘」を歌い始めたスズ子。縦横無尽にステップを踏み、表情豊かに、三尺四方のマスを飛び越え、靴も放り出して、いきいきと。その姿に、なんの憂いもなくステージを飛びまわり歌い踊っていた日々の映像が重なった。 スズ子の小さな体から、久しぶりに歌うことの楽しさがあふれ出たこのシーン。羽鳥が、スズ子にとっての「心から歌いたい歌」を思い出させた。 いま、警官に監督され、三尺四方のマスをはみ出さないよう歌うスズ子に足りないのは、ステップでもダンスでもない。心底楽しんで歌っている、この歌だから歌いたい、歌うのが楽しくてたまらない、というスズ子自身の情熱だ。カカシのように棒立ちになっているのは、スズ子の体ではなく、心だ。 ■「本当の福来スズ子がやっと見えた」 羽鳥と2人きりで演奏された「ラッパと娘」には、心底好きな歌を、心底楽しんで歌うスズ子の“バドジズ”があふれていた。撮影はカットをかけずカメラ長回しで行われたという。番組公式SNSは放送後「趣里さんが通しで歌い踊っています。その活き活きとした歌と踊りに監督も興奮気味でした」と打ち明けた。 スズ子が羽鳥と見せた魂のセッションに、視聴者からも「素晴らしいシーンだった」「どんな時も変わらない羽鳥先生の『トゥリートゥーワンゼロ』に促されて弾けるように歌うスズ子。本当の福来スズ子がやっと見えた」「これこそバドジズ!やっぱりスズちゃんはこれなんだ」と感動の声が続出。演じた2人にも「草なぎさんの、感情を抑えた佇まい、趣里さんのあふれる“歌いたい”が詰まった名シーン」「趣里ちゃんの歌が圧巻の一言だった」「スズ子が何を歌いたいのか一発でわかった。趣里さんの演技と歌唱力に圧倒された」と、絶賛の声が上がった。 だが、梅丸楽劇団は解散。「せっかくラッパと娘を思い切り歌えたのに、稽古場だけ…なんて、つらいよ」「スズちゃんが『本当に歌いたい歌はこれだ』と気づいたのに、歌える場所がなくなってしまった」「最高にバドジズしてたからこそ切なくて、涙があふれた」と、スズ子が直面する現実に胸を痛める視聴者も多い。12月1日放送の第45回では、歌う場所をなくしたスズ子が今後について思い悩む展開が描かれる。 ※「草なぎ剛」のなぎは、弓へんに前の旧字体その下に刀が正式表記