日章旗、米南部から札幌へ 沖縄戦遺族に初の形見
第2次大戦に従軍した米海兵隊員が沖縄の激戦地から持ち帰った寄せ書き入りの日章旗の持ち主が判明し、旗を保管していた米南部ジョージア州の一家が3日、札幌市を訪れて持ち主の遺族に78年ぶりに返還した。持ち主の陸軍兵は沖縄戦で行方不明になったまま所持品も見つかっておらず、旗は遺族にとって初めての形見となった。 「寄せ書き日の丸」は出征者の無事を祈り、地域や職場ごとに名前を書き込んで贈られた。返還された旗には「敢闘必勝」の言葉とともに、日の丸を囲むようにして多くの名前が書かれている。海兵隊員ハービー・マッコラムさん(故人)が持ち帰り、息子のグレッグさん(70)が同州ロームの自宅で保管していた。 グレッグさんは今年3月、日章旗の返還に取り組む西部オレゴン州のNPO「OBON(オボン)ソサエティ」に相談。調査の結果、持ち主が札幌市出身で陸軍第32連隊に所属していた吉原一徳さん=当時(21)=と判明した。
グレッグさんと妻バーバラさん(65)、娘アメリアさん(38)は初来日して3日、札幌市中央区の護国神社で吉原さんの親族に旗を手渡した。