『マイハル』道枝駿佑&広瀬アリスの最後の決断は? 拓の中で膨らんでいた佐弥子への思い
「私たち、別れよう」 『マイ・セカンド・アオハル』(TBS系)第8話、ラストの佐弥子(広瀬アリス)の言葉に衝撃を受けた人は多かったのではないだろうか。それまで「ずっと一緒にいたい」「幸せだな~」と言っていた佐弥子とそんな彼女の姿を見て満足そうな拓(道枝駿佑)の姿にキュンキュンしていたから、突然の展開に胸が痛んだ。 【写真】『マイ・セカンド・アオハル』第9話場面写真 拓がスイスの有名建築家からオファーを受けた。それを受け入れれば留学どころか、何年もあちらで“修行”することになる。察しがよく、粗方の事情を知った龍之介(水沢林太郎)は拓に「2人なら遠距離恋愛も乗り越えられる」と声をかけたが、周りが思っている以上に拓の中で佐弥子の存在が大きくなってしまっていた。 いっそのこと、佐弥子も同じくらい拓にベタ惚れで「仕事と私、どっちが大事なの!? 私でしょ!」くらいの勢いで恋愛を選んでくれたら、ニヤつく拓も想像できるし、その潔さに「佐弥子らしいなあ!」と笑えていたかもしれない。でもこういう時ほど、「あの時こうすれば……」を長く引きずってきた、佐弥子の大人な側面が顔を出す。今後の人生も長く、加えて天賦の才能がある拓に巡ってきた、またとないチャンス。はっきり言って、“選ばれた人”にしかやってこない貴重な機会を、恋愛という一生続くかどうかわからないものを理由に逃してほしくない。きっとそんなふうに考えてしまっているのであろう佐弥子の気持ちは、社会人経験がある人ほど理解できてしまうものではないだろうか。
だが、拓の気持ちだって生半可なものではない。だって「大学院も、師事する建築家も、いくらでも代わりはいる。でも佐弥子さんには代わりはいないんですよ」と言い切ってしまうのだ。これだけ自分の好きな人に必要とされている佐弥子に羨ましささえ生まれてくる。言葉遊びのようになってしまうが何かを選んだということは、必ず何かを選ばなかったということで、「あの時、こっちを選んでいれば……」なんて後悔はずっとついてくる。それを断ち切るには、「俺が! こっちを! 自分で! 選んだんだ!」くらいの強い自覚が必要だ。もう拓にはそれが備わっているように思える。いつもはストレートな言葉を口にできる拓だが、今回ばかりはその裏にある感情が重すぎて、自分の思いをうまく伝えられていないよう。それが原因で佐弥子とすれ違ってしまうことになるならば、とても悲しいことである。 佐弥子と拓、どちらの考えも間違ってはいない。だからこそ決断するのはとても難しく、観ているこちら側はとてもヤキモキしてしまう。拓のため、と自分の気持ちに蓋をしようとしている佐弥子と、佐弥子がいないとダメだ、と自分の気持ちを見て見ぬふりしようとしている拓。実は似たもの同士の2人。どうか自分の思いを主張するのではなく、「相手が好きな気持ち」と「建築が好きな気持ち」を大切に2人で向き合って最後の決断をしてほしいと願っている。
久保田ひかる