2025年茨城県内選挙展望 (上)参院選 現新争う様相 知事選 大井川氏の動向に注目
2025年の茨城県内関係の選挙では、今夏に参院選(改選数2)、秋には知事選が行われる。参院選は、現職2氏が再選を目指すほか、新人が名乗りを上げた。9月25日に任期満了を迎える知事選は、2期目の大井川和彦知事の動向に注目が集まっている。 ■上月、小沼両氏 出馬表明 2新人も 今夏の参院選茨城選挙区(改選数2)は、自民と立憲民主の両党が現職を立てるほか、共産と参政が新人候補の擁立を決めており、現新が争う様相となっている。2024年10月の衆院選で与党が過半数を割り込んだ「政治とカネ」を巡る問題が、参院選にどこまで影響を及ぼすかも焦点の一つになりそうだ。 これまでに立候補を表明しているのは現新4氏。3回目の当選を目指す自民現職の上月良祐氏(62)、再選を目指す立民現職の小沼巧氏(39)に加え、共産新人の高橋誠一郎氏(30)、参政新人の桜井祥子氏(40)が名乗りを上げた。 上月氏は1987年の自治省(現総務省)入り後、茨城県の総務部長や副知事を務め、2013年の参院選で初当選した。農林水産大臣政務官や経済産業副大臣兼内閣府副大臣などを歴任してきた。 自民県連は24年6月、「働きぶりが高く評価できる」(海野透会長)などとして、上月氏の擁立を決定。同7月には党本部が公認を決めた。上月氏は「地域や日本の活性化のため力を注ぐ」と、地域回りに力を入れるなど支持固めをしている。公明も上月氏を支援する構えだ。 小沼氏は立民県連が同年5月、公認を党本部に申請。参院選まで約1年となった同7月に内定した。立民の支持団体の連合茨城も動きが早く、同10月には推薦を公表。小沼氏の再選に向け組織の一層の団結を図っている。 一方、連合茨城は国民民主の支持団体でもある。国民県連は独自候補擁立を目指してきただけに、これら「2党1団体」が結束できるか注目される。前回、小沼氏は約23万7千票を獲得しており、今回、統一が見送られれば影響は少なくない。 同県連の二川英俊幹事長は「連合茨城の動きを踏まえ、対応を検討中。早急に結論を出したい」としている。関係者は「小沼氏に一本化することになるだろう」と見通す。 高橋氏は昨年10月の衆院選で茨城1区への出馬に続き、参院選で現職2氏に挑む。物価高騰の中で暮らしを守る政治や原発ゼロなどを掲げ、自民と旧民主党系の候補者が分け合ってきた「指定席」で、議席獲得を目指す。 桜井氏は昨年の衆院選で、公示直前に茨城3区から東京1区に選挙区を変更して立候補。参院選では減税や積極財政により、国民の負担軽減などを訴える。 このほか、茨城維新の会も候補者を擁立する方針。「固まり次第、党本部に上申する」(石井章代表)という。 ■大井川氏、3期目言及なし 知事選(任期満了9月25日)は2期目の現職、大井川和彦氏(60)が現時点で3期目に言及していない。市町村単位での後援会づくりは進んでいるとみられ、今後の動向が注目される。 大井川氏は昨年12月の定例記者会見で、3期目について「目の前の仕事を今、全力で行うことに尽きる」と述べるにとどめた。2021年の再選以降は、市町村ごとの後援会が22年に水戸市、23年に神栖市とひたちなか市でそれぞれ発足するなど、県内の約9割に拡大。「着々と足場固めが進んでいる」(県議)状況だ。 前回知事選で大井川氏は自民、公明、国民民主の推薦を受け、告示3週間前に出馬を表明した共産系新人との一騎打ちを制した。自民党県連の海野透会長は昨年7月の県連の会合で知事選に触れ、「(出馬について)早く腹積もりを聞きたい」と迫るなど、その動向への注目度は高い。 大井川氏は1964年に土浦市で生まれ、日立市育ち。県立水戸一高、東京大を経て、88年に通商産業省(当時)入省。経済産業省政策調整官補佐などを務め、退官後はマイクロソフトアジア執行役員、シスコシステムズ専務執行役員、ドワンゴ取締役などを務めた。 一方で、対立候補を擁立する動きも徐々に出始めている。前回知事選で共産系新人を擁立した政治団体の幹部は「年初以降、擁立に向けた議論を組織内で進めていきたい」と話している。
茨城新聞社