十久保南蛮使った商品開発を 東京農大の学生が取り組み 長野県天龍村
東京農業大学のサークル「農村調査部」の学生9人が2~4日、長野県天龍村に滞在し、村に伝わる唐辛子「十久保南蛮」を使った商品開発に向けた活動をスタートさせた。9月に飯田市で行われる伝統野菜のイベントに出店し、十久保南蛮のアイスクリームなどを販売する計画で、生産者や地域の事業者らと企画の打ち合わせや試作・試食を重ねてアイデアの具体化を図った。 同部は毎年、農業に関わるテーマを設定してフィールドワークを行っており、ことしは飯田市出身の学生の提案で十久保南蛮を対象に決定。3月に初めて来村して地元住民と交流を深めた。歴史などの調査に加えて普及活動にも参加し、商品開発はその一環として行う。 このうちアイスクリームは、自家製アイスをキッチンカーで販売する「kumapon's(クマポンズ)」の熊谷鮎美さん(36)=阿南町和合=の協力で企画。2日は村内の和知野川キャンプ場で初めての打ち合わせを行い、熊谷さんのアイスにフリーズドライにして粉末にした十久保南蛮をふりかけて味を確かめた。 発案者の3年生の女子学生(20)は「甘い食べ物と組み合わせてもおもしろいのではと考えた」と語り、「シンプルなバニラ味と組み合わせて唐辛子の味を楽しんでもらいたい」と描く。この日は粉末にした村産のエゴマやミョウガ、ていざなす、ユズとの組み合わせも試し、構想を膨らませた。 「スパイスの中でも七味をアイスにかける発想はなかった」と熊谷さん。学生とともにアイスを試食して「岩塩など塩味が入るといいかもしれない」などとアドバイスし、「学生の感性で村の農産物が生きるアイスにしたい」と話した。 この他、葉を活用したつくだ煮や村の伝統野菜「伍三郎うり」と組み合わせたキムチなどの開発、ていざなすの利用も計画しており、JR飯田線秘境駅号の運行に合わせた平岡駅での販売や同大の収穫祭(文化祭)などでの提供も考えている。 十久保南蛮生産者組合の板倉貴樹組合長は「学生のアイデアができるだけ実現できるよう協力していきたい」と話していた。