下田市長 松木氏が再選 土屋氏、長友氏抑える
任期満了に伴う下田市長選は23日、投開票が行われ、無所属現職の松木正一郎氏(63)が、いずれも無所属新人で元副知事の土屋優行氏(69)と元市議の長友くに氏(77)を破り再選を果たした。投票率は60・87%で前回選を7・78ポイント下回った。 下田市長選開票結果(当選者の丸数字は当選回数) 当 5,231 松木正一郎 63 無現② 4,416 土屋優行 69 無新 638 長友くに 77無新 ▽投票総数 10,335▽有効 10,285▽無効 50 事実上の保守分裂選で多くの団体が自主投票を決めた中、松木氏は複数の市議らの支援を受け、市内で広く浸透した。長年の懸案だった市庁舎移転事業の解決や観光振興など1期目の実績をアピールし、大票田の中心街などで着実に支持を集めた。 一部商工業者らの支援を受けた土屋氏は、各地を細かく回り市政刷新を訴えた。福祉の充実などを掲げて現職の批判票を取り込んだものの、地盤の浜崎地区以外で伸びを欠いた。 長友氏は賀茂広域ごみ処理事業の中止を訴えたが、支持が広がらなかった。 午後9時45分ごろ、同市二丁目の事務所に当選確実の一報が入ると、集まった支援者から大きな歓声が沸き上がった。松木氏は「一人一人が自分の時間を犠牲にして支えてくれた。いろいろな人の声をしっかり聞き、政策を実行していく」と涙ながらに語った。 松木 正一郎氏(まつき・しょういちろう)建設会社勤務を経て1989年に県庁入り。下田土木事務所長、賀茂地域局副局長兼賀茂危機管理監などを歴任。2020年に下田市長に初当選した。同市出身。早稲田大卒。六丁目 ■防災対策、地域経済力底上げにスピード感と実効性を 現職の松木正一郎氏が元副知事の土屋優行氏と元市議の長友くに氏の新人2人を抑え、再選を決めた。下田市長選では2016年、20年と現職が1期で敗れていたが、これまでと異なり、有権者は松木市政の継続を選択した。 松木氏は20年夏の就任後、新型コロナ対策に注力しつつ、長年の市政課題だった市庁舎の移転事業を決着させ、海水浴場の治安改善に一定の道筋を示した。選挙戦では中心市街地活性化や観光振興を訴え、有権者から一定の評価は得た。 ただ、目立った失政がなかったにもかかわらず、前回選から得票数を減らしたのは、現状への市民の危機感の現れと言える。高齢化が進む地域で課題が山積する中、能登半島地震を受けた防災対策の推進や地域経済の底上げなど、2期目はスピード感と実効性が問われる。
静岡新聞社