倉本聰氏は父親的な存在 芥川賞の山下澄人氏「怒られるかな」
「いや、人ごとみたいな感じですよ。すごいな、芥川賞」。『しんせかい』で芥川賞を受賞した山下澄人氏(50)は、19日夜に行われた受賞後の記者会見で率直な思いを語った。 【中継録画】第156回芥川賞・直木賞が発表 受賞者が会見
「富良野塾」の2期生
「僕が芥川賞作家? ウソやろ、と言う話。友だちはびっくりするだろうと思います」と笑いながら話す。芥川賞が「(自分と)地続きなものとは思っていなかった」という。 4回目のノミネートでの受賞。「正直言うと、ほっとした」と告白する。これで、もう候補になって連絡を待つ時間を過ごさずに済むからだ。自分は賞なんてどうでも良い、と思っていても、周囲は受賞すれば喜んでくれるのでは、と考えてしまう。今日は六本木のカフェで担当編集者と待機したが、選ばれなかったケースを考え「(編集者に)すいません、と言う準備をしていた」。 1966年兵庫県生まれ。神戸市立神戸商業高等学校を卒業後、脚本家で演出家の倉本聰氏(82)が主宰する富良野塾の2期生となった。「僕は若い時に両親が亡くなったので、(倉本さんは)父親のようなもの。だから、会見をどこかで見られていて怒られるのかな。“ちゃんとしゃべれ”と。そういう存在」。芥川賞の受賞は、留守番電話にメッセージとして吹き込んだ。
これまで、電車の中でスマホを使って小説を書くケースが多かった。芥川賞作家となっても、そのスタイルは変わらない。「スタイルとか思ってない。変えるも変えないも、変わったら変わる」。 (取材・文:具志堅浩二)