【文蹴両道】大宮高校 安元利充監督#2「部員の中にも5段階で4.9、学年で2番の生徒も。サッカーを通じて考える力も養成したい」
――今シーズンのサッカー部の目標はどこに置いているのですか? 全国高校選手権予選で夏の1次トーナメントを突破し、秋の決勝トーナメントに進むことをまずは第一に目指しています。最近はずっとこのテーマを掲げているんです。 ――監督のチームづくりに対する考え方を教えて下さい。 一人ひとりがきちんと情報収集し、それを基に正しく判断してプレーするサッカーです。指導陣の「蹴れ」とか「つなげ」「走れ」といった指示に任せて動くのではなく、自分たちが持っている引き出しの中から何がベストのプレーなのかを考え、行動することを求めています。強い相手と戦えば守備に人数を割いて、ブロックを形成した守備的な戦法を選択することもありますし、やれる手応えを感じたら前からプレッシャーを掛け、怖がらずにボールをつないで攻める展開にもなります。勝つことはもちろん大事ですし、そこを目指さないといけないのでしょうが、うちは勝利だけ追求しているわけではなく、サッカーを通じて考える力も養成したいと思っています。 ――本格的なチームづくり、チーム強化はこれからでしょうが、現時点で大宮の特長や強みはどのあたりにありますか? 新3年生は力のある選手がけっこういます。1月の新人大会は南部支部予選3回戦で、浦和学院に0-4で負けてしまいましたが、前からしっかり追い掛けて球際でも頑張って戦っていました。技術的には決して高くはありませんが、そんなチームカラーを生かしながら何とか目標をなし遂げたいですね。内容のあるいいサッカーもやりたいし、勝ちたい思いも相当なものです。うちは大学の体育会で続けるような選手は皆無なので、ここで結果を出したいという気持ちがものすごく強いわけで、絶対に決勝トーナメントへ到達し、達成感に浸りたいと考えています。本当は大学に行ってもプレーしてくれる選手が出てくれたら最高に嬉しいのですが……。 ――埼玉を代表する進学校の教師、監督としてのやりがいは、どんなところに感じているのですか? それは生徒の成長に尽きます。それまでできなかったことができるようになり、さらに自分たちで考えてコミュニケーションを取って何かを創り出してくれた時などは、指導者として誇りに思います。サッカー部に関してなら、私のほうから指示や示唆をしたわけでもないのに、キャプテンが率先して部員に発信したりする姿を見た時は、「いいな」ってすごくやりがいを感じますね。 (文・写真=河野正)