年収が1000万円を超えそう…。やっぱり税制面では損なのでしょうか?
日本の所得税は超過累進課税制度と呼ばれていて、一定以上の収入を超えると税率が上がる仕組みです。そのため、税率が上がる境目の収入を超えると、大きく税額が上がることになります。 特に、1000万円超の年収は税制面で不利だといわれています。本記事では、年収が1000万円を超えた場合のデメリットや対策を具体的に解説します。特に、年収が1000万円に近づいてきた人は参考にしてください。 ▼会社員で「年収1000万円」以上の割合は? 大企業ほど高年収を目指せる?
年収が1000万円を超えたときのデメリット
年収が1000万円を超えている人は、高額所得者というイメージを持つ人は多いのではないでしょうか。また、年収が1000万円を超えていれば、余裕のある生活を送れると考える人も多いはずです。 しかし、年収1000万円を超えることは、所得税率が大きく跳ね上がる分岐点でもあります。つまり、年収1000万円以下のときよりも自由に使えるお金が減る可能性もあるのです。本項では、具体的に税率にどれくらいの違いがあるのかを解説します。 ■年収1000万円を超えると所得税率が上がり配偶者控除がなくなる 年収が1000万円を超えると、以下のデメリットが発生します。 ◆所得税率が大きく上がる 給与所得者は収入が850万円を超えると、給与所得控除額が最大の195万円に達します。一方で所得税率は、課税所得額が900万円を境にして、それまでの23%から33%に上がります。つまり、年収が1095万円では給与所得控除を差し引いても課税所得が900万円となるため、所得税率は33%が適用されます。 ◆配偶者控除がなくなる 所得税ではさまざまな控除が認められていますが、そのひとつに配偶者控除があります。配偶者控除は所得金額に応じて、控除額が以下のように定められています。 ●900万円以下(1095万円以下):38万円 ●900万円超~950万円(1095万円超~1145万円以下):26万円 ●950万円超~1000万円(1145万円超~1195万円以下):13万円 ●1000万円超(1195万円超):なし ※ カッコ内は給与所得のみの場合の所得者の給与等の収入金額 配偶者控除も年収で1095万円を境にして金額が下がり、さらに1195万円を超えてしまうと配偶者控除は認められなくなります。 ■児童手当・高等学校等就学支援の制限は年収1000万円前後で発生する 政府の子育て支援対策の一環として、児童手当や高等学校等就学支援の制度があります。しかし、これらの支援にも収入制限があります。 児童手当は、中学校卒業までの児童を養育している人を対象に支給されます。子ども1人あたりの支給月額は、3歳未満が一律1万5000円、3歳以上小学校修了前が1万円(第3子以降は1万5000円)、中学生は一律1万円となります。 親などの子どもを養育している人の所得が、所得制限限度額以上~所得上限限度額未満の場合は特例給付が支給されますが、子ども1人あたり月に一律5000円です。所得上限限度額を超えている場合、支給はありません。児童手当の所得制限は、図表1のとおりです。 【図表1】