速見コーチの赤裸々会見で暴かれた塚原夫妻「一切勧誘したことがない」の嘘
そして3度目は、この7月の代表合宿の際の出来事で、宮川選手が8月29日の会見で話した通り、同じく塚原女子強化本部長の付き人が、優しい口調で「朝日生命の寮の部屋が空いている」「(朝日生命にくれば)本部長の指導も受けられる」などと誘いをかけてきた。 速見コーチも「私はいなかったのですが、宮川選手自身が、会見でもお伝えしたとおり、『朝日生命でやれば、これだけいいことがあるのよ』ということを言われていました。そういう経緯もあって、そう(引き抜きと)感じたことは事実です」という。 塚原夫妻は8月31日にプレスリリースを発表、その中で「宮川選手が、私の付き人から朝日生命体操クラブへの加入を勧められたと、ご主張されておりますが、この点についても真実と異なります。私たちは、宮川選手に関して、一切、勧誘を行っておりません」と完全否定していた。おそらく第三者委員会に対しても、同じ主張をすると思われるが、この主張の嘘が暴かれることになった。 もしかして「私たちが指示していないところでコーチや付き人が勝手にやった」とでも言い出すのかもしれないが、その言い訳は、さすがに通用しないだろう。 しかも、始末が悪いのは、引き抜き工作と「2020東京五輪特別強化選手強化対策」への勧誘がうまくいかなかったためパワハラ行為を行ってきたことも明らかにされたのだ。 速見コーチが、質疑で明らかにしたところによると、通常、冬場から春先にかけて集中的に行われる海外派遣についてナショナル選手は上位の選手から打診がくるものだが、一切なく、すべての海外派遣から外されることになった。 2017年7月には、ナショナルトレーニングセンター(NTC)で練習していたところ「強化本部長が使っている部屋」に、もう一人のコーチと共に呼び出され、塚原女子強化本部長から「どうして(NTCを)使っているの? 2020に入っていないあなたたちは使っちゃダメよ」と、使用に制限をかけられた。NTCの使用制限に関する正式な通達を受けておらず、「2020東京五輪強化選手強化対策」への参加は、強制ではなかったため「なんでダメなのか理由がわからない」と抵抗したところ「納得いく説明が返ってこずに言い争いになりました」という。結局、その日は、NTCでの練習を禁じられ引き返すことになっている。 「2020に入らないから海外へ派遣しなかったでしょう」「五輪に行くには、2020に入らないと」と、権力をふりかざす、パワハラ発言を塚原女子強化本部長から直接投げかけられ、実際、NTCの利用制限、海外派遣から外されるというパワハラを受けた速見コーチは、昨年夏(8月か9月)に、日本体操協会の事務局長、専務理事に相談を持ちかけた。 「なぜ(宮川選手は)ナショナル選手なのに強制でない2020に属していないことで制限をかけられるのか。理由がわかりません。それなら2020に属していない選手は、制限を受けるということを発表してください。発表があるなら従います」 すると協会側は「いくら強化本部長が決めることとはいえ、体操協会として改善する必要がありますね。体操協会としては考えなきゃいけない」と、口頭では回答したが、その後、何の連絡も動きもなかったという。