「俊寛」で俊寛僧都を演じる尾上菊之助（C）松竹

　歌舞伎俳優の尾上菊之助が２日、東京・歌舞伎座で初日を迎えた「錦秋十月大歌舞伎」（２６日・千秋楽）の昼の部「平家女護島　俊寛（へいけにょごのしま　しゅんかん）」に出演した。 　謀反が露見し、絶海の孤島に流された俊寛僧都の悲劇を描いた物語。今回が初役となる菊之助は、断崖絶壁ではかない運命を嘆く名場面を情感たっぷりに演じ、観客は息を飲んで見守った。俊寛は菊之助の義父にあたる中村吉右衛門さん（２０２１年死去、享年７７）の当たり役。「岳父（吉右衛門さん）の演じ方を目指し、初代吉右衛門さんにも敬意を払って勤めたいと思っております」と意気込んでいる。 　◆「平家女護島　俊寛」　絶海の孤島、鬼界ヶ島に流された俊寛。平家打倒の密議が露見し、丹波少将成経（中村萬太郎）、平判官康頼（中村吉之丞）とともに流罪となったが、３年が経ったある日、島で出会った海女の千鳥（上村吉太朗）と成経が夫婦になるというので、皆でささやかな祝言を挙げる。そこへ水平線の彼方から船影が。そろって都へ帰れると喜び合うのも束の間、赦免船から瀬尾太郎兼康（中村又五郎）、丹左衛門尉基康（中村歌六）が出てくると、瀬尾が赦免状を読み上げる中に俊寛の名前がなく…。