警視庁が“盗撮犯”の容疑を「迷惑防止条例」から「撮影罪」に訂正…その“思惑”とは? 小さいようで大きい2つの法律の違い
再犯の抑止力がなければ意味がない
性犯罪者の実態と再犯防止について詳報した2015年度版の犯罪白書によると、盗撮型の再犯率は36.4%と他の犯罪類型と比べても高めであり、依存症ともいわれる。だからこそ、より厳しく取り締まる必要があり、そのためにピンポイントの法律として撮影罪が新設されている。 罰則「3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金」は、たとえば東京都の迷惑防止条例の「1年以下の懲役または100万円以下の罰金、常習の場合は2年以下の懲役または100万円以下の罰金」と比べてもかなり厳罰化されている。 今回の山手線車内での事案では、容疑が「撮影未遂」と報道されているが、撮影罪では「未遂も罰する」という規定が新設されており、「撮影行為やその準備行為に至らなかった」という理由で罰則が軽い軽犯罪法が適用される選択肢も事実上絶たれている。 <盗撮犯を逮捕した>。その点だけに目を向ければ、第一報と第二報に大きな違いはない。だが、警察の訂正に、今後、盗撮罪での検挙にもより力を注いでいくんだというメッセージが込められていると信じ、盗撮罪による検挙の推移を見守りたい。
弁護士JP編集部