交通事故で失った3人の友が「背中を押してくれた」【車いすラグビー金メダル会見全文】(2)
今まで見た中で一番美しい光景
そして、1試合が終わればその喜びを一度忘れて、次の試合までに一度気持ちを落ち着けて、適切な感情でそれぞれが次の試合に臨む。その連続をすべてクリアしたときに、金メダルという頂点が今回の私達に見えたのかなと思います。 もしかしたら、(自分たちを)さらに上回るチームが現れるかもしれない。その時にまた、新しい壁にぶつかるかもしれないけれども、それを団体で乗り切る。選手みんなでヒントを生み出しながら、自問自答して乗り切る。それを繰り返しながら、一つ一つ越えていく。それが、団体競技で結果を出す近道だったのかなと、今振り返ると思います。 でも、戦うまでは僕らには正解がわかりませんでしたが、(最終的には)正解にすることができました。そこが、チームとして今回得た部分なのかなと思います。 ──世界の頂点に立って見えた景色は。 池:自分たちのプレーも美しかったし、コートに立てなかった選手やベンチでのエネルギー、そしてスタッフさんのサポートも素晴らしかったです。会場の景色と、金メダルを取った選手たちを……。すべての方々が祝福しているあの光景は本当に忘れられない。僕が今まで見た中で一番美しい光景だと感じました。 ──どんな思いを持ってのぞんだ大会でしたか。 池崎:今回は目標としていた金メダルをしっかり達成でき、車いすラグビーの歴史を塗り替えた瞬間だったと思います。 背景をたどるとたくさんの人の力があるのですが、初めての金メダルで、本当に忘れられないパリ大会になったなと思います。 思い出はそれぞれの大会にありますが、今回は特別で、有観客でホームのような声援の中でプレーをできたことです。その舞台に立てたということにプラスで結果を残せた。それが何よりも嬉しかったです。 池:「どうすれば金が獲れるんだ」という気持ちはすごくありました。その気持ちの強さは日々のトレーニングにはエネルギーを生みましたが、大会で結果を出すためには、その強いエネルギーを持ちすぎることが、逆にマイナスになることもあると捉えていたので、自分自身がベストパフォーマンスを出すという気持ちでこの大会に臨みました。