加速する中国の中古車市場、事業参入には依然ハードル高く
今回発表された政策について、上海市の中古車販売業車にとってのメリットはとても大きいとシャンさんは語ります。その理由は、上海の道路は外地に比べて舗装が整っており、比較的状態の良い中古車を仕入れられることや、整備業車などの質も外地より高いため、外地に販売する上での利点が強いそうです。実際に上海近辺の外地から展示会場に来る客も多いようです。 さらに、今回規制が緩和されたこのタイミングが市場にとって優位に働くと見込まれているようです。まず、 1)中国の新車の年間販売台数が1000万台を超え、市場が大きく成長し始めたのが2009年頃からであること 2)現状施行されている6年間車検免除の対象が2010年9月1日以降購入の車でありその買い替え時期が始まること この2点を踏まえると2016年には中古車流通量が一気に増えることが想定されています。これまでは、状態が良く人気の高い中古車の仕入れ自体が難しかったため、そもそも販売できる商品に限りがあったのに対して、これからはより良い中古車を豊富に提供することが可能になることが、市場活性化を期待できる理由だそうです。このような条件下において、政策レベルでも中古車市場を促進する動きが重なることで、相乗効果が期待できるのだそうです。一方でまだまだ未成熟の市場、消費者における車の知識度が浅いことや、整備などのクオリティなど課題も多いようです。
基本的に中国では外国産中古車の輸入が禁止されているため、仕入れから現地で行う必要があり日本の中古車事業が参入するにはハードルが高い現状があります。 一方で、整備や清掃などのアフターケア部分においては日本の高い技術力で他社との差別化を図る余地が今後あるとも考えられます。しかし、ホコリや黄砂が多く、洗車意識の低い中国。日本のサービスが提供するクオリティに消費者の期待値が追いつかない限りにおいては、単にコストが上がり妥当な販売価格で提供できないのも現状です。 このような問題を解決し、日本企業が提供できる価値によって中国の中古車市場がさらに発展していくことが理想的な協業モデルとなるでしょう。もちろん、中古車市場の成熟は新車の価値向上にもなるため、車市場全体においても重要な動向として引き続き注目していく必要があるでしょう。