プロ注目144キロ右腕の帝京長岡・茨木佑太「強いというところを見せつけたい」/新潟
第106回全国高校野球選手権新潟大会が今日5日、開幕する。春季県大会2連覇で、同北信越大会を初制覇した優勝候補筆頭の帝京長岡のエース茨木佑太投手(3年)は万全の状態で臨む。 セ・パ全12球団が注目する最速144キロの右腕は、過去2度の夏、チームの敗退を目にしてきた。絶対エースに成長した最後の夏、自身がけん引して、春夏通じてチーム初の甲子園出場をもぎ取る覚悟だ。 ◇ ◇ ◇ 準備はできた。「これからも上がっていくと思う」。茨木は上り調子を感じている。6月最終週は決勝が行われるハードオフエコスタジアム新潟で練習した。初めて同球場のマウンドに立って25球の投球。「投げやすい」と好感触を得た。 体調は万全だ。毎日ご飯は朝がどんぶり1杯、夜は3杯。三食の合間におにぎり3、4個を捕食し、1日5、6合の米を食べる。今年と同様に第1シードだった昨夏、帝京長岡は3回戦で長岡に0-9の7回コールドで敗れた。茨木の登板はなし。暑さによる食欲不振で、春先から体重を5キロ以上落とした。食欲旺盛な今年はベストの92キロを維持。失敗は繰り返さない。 セ・パ12球団が注目する大器。芝草宇宙監督(54)は「春よりも1つレベルが上がった茨木を見せられる」と信頼を寄せる。6月の春季北信越大会、茨木は準決勝の福井工大福井戦で5安打2失点9奪三振で完投勝利。自己最速の144キロに迫る143キロを記録した。大会後の大阪桐蔭との練習試合は、0-4で敗れたが、7回途中5安打2失点と好投。「意図を持って投げた球で抑えている」(芝草監督)。187センチ、92キロの恵まれた体格。これまで力任せで抑えたが、今は考えて球を操るレベルに成長した。 帝京長岡、そして自身が県内では標的になる。「むしろモチベーションになる。真っ向勝負」。準優勝だった一昨年夏は1年生ながらベンチ入りした。日本文理との決勝で、兄秀俊(20=現阪神)がサヨナラ打を浴びて号泣する姿を目の当たりにした。悔しさを重ねて迎えた最後の夏。「自分たちは強いというところを見せつけたい」。初の聖地へ、自身を持って右腕を振る。【斎藤慎一郎】 ◆茨木佑太(いばらぎ・ゆうた) 2006年(平18)5月9日生まれ、北海道出身。手稲中央小1年から手稲ヤングスターズで野球を始めて以来、ほぼ投手。手稲中では少年硬式野球の札幌東シニアに所属。3年の時に東日本選抜大会に出場した。帝京長岡では1年の夏からベンチ入りし、秋から背番号「1」。憧れのプロ野球選手はドジャース大谷翔平。187センチ、92キロ。右投げ右打ち。 ○…芝草監督が「いい投手になった」と絶賛するのが、三塁手兼任の小林真大(3年)だ。春季北信越大会決勝の東京都市大塩尻戦(2-0)は先発で6回2安打無失点。抜群の制球力で打たせて取った。昨秋は右手小指のケガで不出場。その間、筋トレで肉体改造し、体重は昨秋から10キロほどアップして74キロに。「終盤になっても球威が落ちなくなった」と成果を実感。「春の優勝はなかったことにして、挑戦者として臨む」と気持ちにもスキはない。