「対局に支障はないのかな、と」藤井聡太名人、千葉最大震度4の地震にもピクリとも動かず2連勝…名人戦七番勝負第2局
将棋の藤井聡太名人(21)=竜王、王位、叡王、王座、棋王、王将、棋聖=に豊島将之九段(33)が挑戦している第82期名人戦七番勝負第2局が24日、千葉・成田市「成田山 新勝寺」で前日から指し継がれ、後手の藤井が126手で勝利した。20日にタイトル戦連勝が16でストップした藤井だが、“仕切り直し”の白星。これでシリーズ2連勝となり、名人初防衛へ視界は良好だ。 突然の揺れも、藤井の思考の妨げにはならなかった。勝負は佳境の104手目。午後8時40分頃、千葉県内でも最大震度4を観測する地震が起こった。 豊島は周囲を見渡すように視線を泳がせたが、手番だった藤井は盤上を見つめたまま、ぴくりとも動かず。「揺れたなと感じる時はあったのですが、それほど大きな揺れではなかったので対局に支障はないのかな、と」と藤井。最後の最後には、気づけば軍配は藤井に上がっていた。 20日に行われた石川・加賀市での叡王戦第2局で伊藤匠七段(21)に敗れ、タイトル戦連勝が止まった。最多記録の更新はならなかったが、気持ちを切り替えて中2日で臨んだ本局では、しっかり勝ち切った。プロ入り初のタイトル戦対局での連敗はまぬがれた。 1日目は相掛かりの出だしから豊島が飛車を7筋8筋に転回する「ひねり飛車」をにおわせ、前例のない力戦形に。藤井が先手の作戦についていく展開になった。互いに時間を使うスローペースで豊島が39手目を封じた段階では形勢は互角のまま。2日目に入り、豊島が我慢する展開に。飛車を7筋に回ったが、藤井が桂馬を打ってその飛車を閉じ込めると、「調子がいいな」と形勢は後手にぐんと傾いた。 それでも、やはりこの2人の戦いは中終盤で混戦模様になるのがお決まりだ。夕食休憩前には藤井の飛車が狭くなった。「逆襲を見せられ、思っていた以上に苦しい展開になってしまった」と、藤井は30分ある休憩を約20分返上して盤前で考慮。その後はシーソーゲームが続いたものの、豊島が自陣に手を入れた瞬間、藤井が攻めに転じ、あっという間に寄せ切った。 第1局、第2局と大熱戦が続いた。「第1局、本局とどちらも中盤でミスが出てしまっているので、そこを改善していかないといけない」と藤井。5月2日には名古屋市での叡王戦第3局で伊藤と戦うが、再び“連勝街道”を突き進むつもりだ。(瀬戸 花音) ◆豊島九段まず「何とか」1勝 〇…2局連続の大熱戦も、気づけば2連敗となった豊島は「序盤でかなりさえなくなって、そこがまずかったと思います。難しくなった後も、たぶんあまりいい手を指してないので、よくなかったなと思いました」と一局を振りかえった。まずは1勝をもぎ取りたい第3局に向けては「何とかやっていきたい」と前を見据えた。
報知新聞社