日本人女性動画クリエイター初の快挙 斎藤アリーナが語る“登録者1000万人を達成できた要因”
2024年12月11日、幕張メッセにて開催された『YouTube Fanfest Japan 2024(以降、YTFF)』に、ショート動画投稿からわずか1年半で日本人女性チャンネル初のチャンネル登録者数1000万人という快挙を達成した斎藤アリーナが出演。今回は動画クリエイターとしては、謎に包まれている彼女にインタビューを実施。 【写真】斎藤アリーナの撮り下ろしカット なぜ、この短期間でバズを生み出し続けることができたのか? アーティストとして活動している彼女がYouTubeを始めたきっかけから、伸びる動画の作り方まで聞いた。 ・アーティストならではの視点で発見した“伸びるコンテンツ” ーー2024年はどのような1年でしたか? 今年を振り返った感想をお聞かせください。 斎藤アリーナ(以下、斎藤):一言で言うと登録者数1000万人を目指した一年でした。 YouTubeを始めた頃からショート動画を活用し世界の人に動画を届け、1000万人達成するということが大きな目標の一つでした。 どうしたらその目標を達成できるのか。YouTubeを探求する日々でした。 ーー10歳の頃からテレビ業界で活躍されていますが、動画クリエイターになろうと思ったきっかけは? 斎藤:もちろんテレビは好きという前提ですが、時代の流れとして、人々の時間がテレビからインターネットに流れているなと感じていました。それが、さらに加速していくだろうなと思ったので、より多くの人に自分を知ってもらうためには、インターネット上での活動を増やすべきだという思いから始めました。 ーーYouTubeを選んだ理由は? 斎藤:世界的に大きな影響力を持つYouTubeなので参入したいとはずっと思っていました。ショート動画機能が実装されて、それに対する注目度が高まっていたので、本格的に投稿を始めました。 ーー開設する前に、参考にしたクリエイターさんはいますか? 斎藤:特定のクリエイターというよりは、成果を出している他のクリエイターを上から見ていった感じです。なぜバズっているのかを分析したりして、重要な要素を自分の動画に落とし込んでいくといった作業を繰り返していました。 ーー斎藤さんは、アーティストとしてもご活躍されていますよね。YouTubeでの発信を、エンタメに特化した理由があれば教えてください。 斎藤:実は自分の音楽を世界中に届けるというのが当初からのメインテーマだったんです。 ここ数年で音楽の消費のされ方が大きく変化しているなと感じていたのですが、その一つがショート動画による音楽のユースケースの多様化です。 音楽を多くの人に届けるためのより確実な方法として、音楽をそのまま発信するのではなく自分でユースケースを産み出して、伸びる動画を介して発信するのがいいんじゃないかなっていう仮説がありました。 まずは再現性高く動画を伸ばせるようになる必要があったので、それを追求した結果今のスタイルに辿りついたんです。 ・快挙達成の理由は分析力にあり? 1000万人に到達する際に変化した“アートの価値観” ーーショート動画投稿からわずか1年半で、チャンネル登録者1000万人……凄まじい勢いですよね。ご自身が思う短期間で大台を突破した理由を教えていただきたいです。 斎藤:非言語的なショート動画コンテンツをメインにすることによって、リーチできる分母を大きくしたことが一番の要因だと思います。 特定の言語でコンテンツを制作すると、その言語圏以外にはリーチできません。 言語を使わないことによって潜在的な視聴者のパイを拡大させました。 また、とにかく数字を追求する意識を持っていたことだと思います。 私個人の好みをコンテンツに反映したいと頭によぎることはたくさんありましたが、リサーチや仮説検証を繰り返し、定量的により良いかどうかを最優先の基準として意思決定をしてきました。今後はもっと自分らしさを取り入れて且つ多くの人に楽しんでもらえるコンテンツを追求したいと思っています。 ーーこの数年でご自身が一番変化したなと思う部分はありますか? 斎藤:一番変わったのは、「アートとはなにか?」の価値観です。YouTubeチャンネルを開設する前は、自分がやりたいことをやるのが表現だと思っていたけれど、アウトプットしたものが人に届いたときに、ようやく価値が生まれるんだなって。 ーー斎藤さんのなかで、ショート動画と長尺動画はどのように使い分けているんでしょうか? 斎藤:長尺は既に私を知ってくださっている方に向けて、ショート動画は新規の方にという感じですかね。 ショート動画は拡散性に優れ、長尺動画は収益的合理性などに優れているので、それぞれのメリットを上手く活かしたいと思っています。 ショート動画から長尺に流入してもらうことはクリエイターにとって重要なことだと考えています。 またYouTubeを視聴する端末も多様化しているのでアウトプットを多様化させるという意味でも長尺も投稿しています。 私のチャンネルをテレビで観てくれている方も増えてきていると思うので、大きな画面でもスマホの様な小さな画面でも観やすいコンテンツ作りを心がけたいと思っています。 ーーほかのクリエイターさんとの差別化はどうやって図っていますか? 斎藤:私のコンテンツはより多くの国の人に届けるために言語を使わないようにしています。 非言語的でも、文脈や感情が伝わりやすいように表情や仕草を工夫しています。 またより長い時間視聴してもらえるように、編集では視聴中の潜在的なストレスを軽減することを意識しています。 ーーでは、最後に今後YouTubeで挑戦したいことを教えてください。 斎藤:もちろん、いまやっているエンタメ系の動画は今後も作り続けていきたいんですけど、大きな目標となると自分のYouTubeチャンネルを通して、音楽を世界的にヒットさせることです。音楽のユースケースが多様化してきているので、そこから逆算して音楽を作る……みたいなヒット曲の生み出し方を確立することができたら再現性高くて強いと思うので、そこも目指していきたいです。
取材=せきぐちゆみ、構成=菜本かな