小池都知事、豊洲移転判断は「都民の納得感がないと……」
豊洲市場の地下水モニタリング調査で基準を超す有害物質の検出が相次ぐ結果となったことについて、東京都の小池百合子知事は20日の定例会見で、「(都民の)納得感がないと、どんなに科学的な話をしても理解してもらえない。そこを心配している」と説明。当初夏ごろとしていた移転可否の判断時期を「(再調査の)流れを見ながら判断したい」と述べた。 【中継録画】小池百合子都知事が定例会見 豊洲移転や住民訴訟対応について
いつまでもやるのか「悩むところ」
14日の専門家会議で公表された第9回地下水モニタリング調査では、環境基準値の79倍のベンゼンが検出されるなど72か所で基準値を超過。これまでのデータとかけ離れた地点が多数あるため、東京都は今回のデータは暫定値とした。 小池知事は「何よりも調査への疑義が生じていることが不安」と指摘。「調査そのものに疑問を抱かれてはエンドレスになる」と述べ、クロスチェックや専門家会議の平田健正座長の立ち会いなど信頼度の高い調査を行う必要があるとした。 報道陣からは、豊洲移転を白紙に戻す選択肢はあるのかなど、移転判断に関する質問が相次いだ。小池知事は会見中、何度も「安心」と「安全」という言葉を口にし、「安全性が数値で確認されてもほんとに大丈夫かという消費者の心理もある」。平田座長が豊洲市場の「地上」と「地下」は分けて考えるべきで「地上に関しては安全」との見解を示した点についても、「専門家の立場からそう言われた。しかし私は一般消費者の一人。理解してもらうのは難しい」との認識を示し、再調査を待ちたいとした。 ただ「結果を待つのも一つだが、いつまでもやっているのかというのはまさしく悩むところ」とも吐露。調査そのものへの信頼を取り戻すことが新たな課題として浮上しているとして「あらためて総合的に判断する」と述べるにとどめた。 (取材・文:具志堅浩二)