ミラーも窓も「ハンドパワー」! 10カ月しか販売されなかったレアグレード、GTツインターボS
マークⅡやクレスタとは異なるターゲットを狙ったチェイサー。そのチェイサーだけに存在するグレードがあり、それが本記事で紹介しているGTツインターボSである。このモデルは走りだけに特化したGTツインターボの廉価版である。今回は具体的にどこを簡素化したか紹介する。 【画像17枚】ステアリングやインパネなど。廉価版ということもあっていろいろコストカットされたインテリアになっている。GTツインターボやアバンテ系の場合、エアコンやオーディオを操作するスイッチだが、ターボSでは時計となるメータークラスター左側。さらにターボSではリアウインドーももちろん手動式。そのためレギュレーターハンドルが付き、アームレスト形状も変わるので、灰皿はドアノブ横に設置される 【我が名はGX71 トヨタ チェイサー GTツインターボ S】 まずエクステリアは、フェンダーマーカーとトランクキーシリンダーオーナメントが省かれ、電動格納式ドアミラーも廃止されている。一方インテリアでは、パワーウインドーが手動式になり、電磁ドアロックもなし。さらにメーターがデジタルではなくアナログに変更され、ヘッドライトを自動で点灯/消灯するコンライトも未装備だ。加えて、マニュアルエアコンさえもオプション扱いとなっており、標準ではヒーターのみ。オーディオも基本はレス仕様で、2スピーカーのAM/FMラジオがオプションで設定されているだけなのだ。これら装備の簡略化を見ると、当時のハイソカーとしてはじつに質素な装備。それだけ、走りに重点を置いたグレードということ。 ちなみに、これだけ装備を省いてもカタログ上での車両重量は、GTツインターボもターボSも一緒。とはいえ、厳密には10kg程度の軽量化にはなっているはず。なお、ミッションはGTツインターボでは5速MTと4速ATが選べたが、ターボSは5速MTのみ。こういったことからも、完全に走りを意識したグレードということが感じ取れるはずだ。 ただしターボSは、86年8月のマイナーチェンジ時に消滅。つまり、10カ月しか販売されなかったのである。そして販売期間の短さと、ハイソカーらしからぬ質素な装備からか登録台数が非常に少ないため、現存していること自体が非常に珍しいのである。 チェイサー GTツインターボS(GX71) 全長×全幅×全高(mm) 4630×1690×1385 ホイールベース(mm) 2660 トレッド前/後(mm) 1440/1455 車両重量(kg) 1320 エンジン型式 1G-GTEU型 エンジン種類 直列6気筒DOHCツインターボ 総排気量(cc) 1988 ボア×ストローク(mm) 75.0×75.0 圧縮比 8.5:1 最高出力(ps/rpm) 185/6200 最大トルク(kg-m/rpm) 24.0/3200 変速比 1速3.285/2速1.894/3速1.275/4速1.000/5速0.783/後退3.768 最終減速比 4.300 ステアリング ラック&ピニオン サスペンション前/後 ストラット/セミトレーリングアーム ブレーキ前/後 ベンチレーテッドディスク/ディスク タイヤ 205/60R15(前後とも) 発売当時価格 243.3万円 初出:ハチマルヒーロー 2017年3月号 Vol.40 (記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)
Nosweb 編集部