前最高幹部まで逮捕…止まらぬ県警不祥事に県民もため息 「市民感覚とかけ離れている」組織への信頼根底から揺らぐ
鹿児島県警の現職警察官3人が相次いで逮捕される中、5月31日には3月まで県警本部生活安全部長を務めた元警視正が逮捕されるという“異常事態”となった。地域の安全を守る警察組織への信頼は根底から揺らぎ、県民らは「県警の意識と市民感覚にかい離がある」「真面目な職員が迷惑するのでは」などと批判や戸惑いの声を上げた。 【写真】元生活安全部長の逮捕を陳謝する警務部長=31日16時、鹿児島市の県警本部
元警視正が瀬戸内署長だった当時を知る50代男性会社員=瀬戸内町=は「物腰が柔らかくスマートな印象。地域の活動に協力的だった」と驚く。続発する不祥事にも触れ「仕事に誇りを持ち、一生懸命頑張っている職員のことを考えてほしい」と訴えた。 今回の逮捕は、職務上知り得た秘密を退職後に漏らしたとされる国家公務員法(守秘義務)違反の疑いが持たれている。高校1年の男子生徒=鹿児島市=は「退職後は大丈夫という甘い考えがあったのでは。漏らした動機を知りたい」と話した。情報管理のずさんさを指摘する団体職員の男性(77)=同=は「デジタル化が進み、操作一つで取り返しのつかない事態になる。根本から管理体制を見直すべきだ」と注文した。 生活安全部は県警本部を構成する5部の一つ。そのトップまで務めた幹部が逮捕されるのは極めて異例だ。県外大手企業で部長職を務める女性(55)=鹿児島市出身=は、自らの立場を考えなかったのかと疑問を呈する。「管理職としての影響力や、部下からの信頼を裏切ることになるという自覚が足りなかったのだろう」とため息をついた。
県内の女性公務員(51)は「身近な警察官は信頼できる人が多いだけに、同じ公務員として憤りを感じる」と話す。犯罪予防やストーカー防止、サイバー犯罪捜査など市民生活の安全確保を同部は担っており、高校2年の女子生徒=鹿児島市=は「私たちの安心安全を守る存在だけど、信用できなくなってしまう」とあきれた表情を見せた。 立て続けに明らかになる不祥事に「信じられない」と憤る団体職員の男性(71)=同=は「県警全体の意識が県民感覚とかけ離れている。そう言わざるを得ない」と突き放した。
南日本新聞 | 鹿児島
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