『ポカリ粉末の原料入り袋に異物混入』公益通報後に異動命じられ“うつ病”『一人部署』『軟禁状態の勤務』男性が賠償を求め会社を提訴「報復やめて真摯に向き合って」
『粉末の原料が入った袋に異物が混入している』大塚食品で働く男性が、公益通報した後に、異動を命じられたうえ、軟禁状態での勤務を強いられうつ病を発症したなどとして、会社に慰謝料などを求め大津地裁に提訴しました。提訴に至る経緯などについて振り返っていきます。 【画像を見る】男性が働く工場の様子は?
ポカリ粉末の原料袋に『ほこり』や『樹脂片』
訴えを起こしたのは、大塚食品の滋賀県にある工場で品質管理を担当していた男性です。 訴えによりますと、2021年11月に滋賀県湖南市にある大塚食品の滋賀工場で、「エネルゲンパウダー」「ポカリスウェットパウダー」などの粉末の原料が入っていたポリ袋から、黒いほこりや樹脂片などが検出されたということです。その後、社内で調査したところ包装に使用してはいけない非食品用のポリ袋が使われていたことが判明したということです。
滋賀県へ公益通報…しかし関係職員への処分行われず
男性は製造委託元の大塚製薬への報告やリコールなどが必要と感じていましたが、会社側はこうした対応を行わず、都道府県への報告も行っていなかったということです。こうした状況から男性は2022年6月に滋賀県食品安全監視センターに公益通報を行いました。その後県は2度滋賀工場への立ち入り検査を行いました。異物混入への注意喚起や再発防止に向けた対策を講じるよう行政指導を行いました。 しかし、工場内での問題の共有や再発防止に向けた取り組みが徹底されず、さらに関係する職員への処分などが行われなかったということです。
社内での内部通報も…突然命じられた異動『軟禁状態』での勤務も
男性は適切な対応や責任者の処分などを求め、2022年11月に内部通報を代表取締役らに内部通報を行いました。しかし回答があったのは約8か月後の23年7月、『当時の調査は十分であったとは言い切れず、当時の責任者については人事異動で対応を行う』との内容でした。 一方で男性は内部通報後の23年4月に異動を命じられます。配属先では、他の部署の管理職らに囲まれた状態での勤務、また監視カメラが自らのせきに向けられた状態で勤務していたということです。 また、社内システムにおいて、従前アクセス可能だったフォルダについて、アクセス権がはく奪されていたということです。 訴えによると、本来本社勤務である上司が週に2回、職場にやってきて男性の向かい側に座るも、業務を命じることなく、別の部屋に行こうとすると動かないように言われ、いわば『軟禁状態』での勤務を強いられていたということです。