イチゴの生育遅れ、クリスマスピンチ? 10月に30度超す残暑…兵庫の農家やきもき
10月に入ってもしばらく続いた暑さの影響で、兵庫県西脇市特産のイチゴの生育が遅れている。高温により花芽が形成されず、生育が2週間ほど後ろ倒しになっているという。イチゴ需要が活性化するクリスマス前に出荷のピークが間に合わない可能性があり、農家は「シーズン序盤の収入低下に直結する」と気をもむ。(伊田雄馬) 【写真】食べても罰は当たらない?精巧なミニ大仏が鎮座する奈良の新名物「大仏クレープ」が可愛い&ありがたい 2日連続で全国最高気温を観測するなど、記録的な猛暑だった今夏の西脇市。10月も同月の過去最高気温を更新する33・2度を記録するなど、厳しい残暑が続いた。 ビニールハウスで栽培するイチゴ農家の多くは、流通量が少なく、取引相場が比較的高い12月までにまとまった量を出荷するため、「促成栽培」という手法を採る。ハウス内の加温により、自然環境よりも早く実を成らせるため、9月ごろに花芽分化させた苗を定植する。 西脇市嶋の観光イチゴ園「マッカ」も促成栽培で、9月に苗を定植。例年なら10月中旬に花が咲き、11月中旬~12月上旬に1番果の収穫が始まる。 だが今年は27日の段階で、ようやくつぼみが伸びてきた状態。今月半ばまでは、陽気で苗が日焼けしないようにと、ハウスの天井にカーテンを張らざるを得ないほどだった。オーナーの戸田吉洋さん(52)は「本来であれば日光を入れ、光合成を促進して苗の幹をしっかりと育てたい時期」と渋い表情を浮かべていた。 同園では時期に関わらず、1パック700円前後で消費者に販売している。「新年が明けると、財布のひもが固くなる」といい、クリスマス前後までの需要期は書き入れどきだ。「資材費や人件費など、すべてのものが値上がりしている。なんとか早めに出荷し、収益を確保したい」と話す。