サザン、WEEKEND LOVERS、スカパラ、星野源……2024年各夏フェスで繰り広げられた歴史的コラボの瞬間
夏の思い出に後ろ髪を引かれながらも、季節はいよいよ秋へ。夏の風物詩とも言える今年の音楽フェスシーズンも9月23日に開催された『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2024 in HITACHINAKA』で一旦終わりを迎えた。振り返ると『FUJI ROCK FESTIVAL '24』(以下、『フジロック』)では、のちにOasisの再結成で世界を沸かせるノエル・ギャラガーが大きなシンガロングを巻き起こしたり、『SUMMER SONIC 2024』(以下、『サマソニ』)ではMåneskin、Bring Me The Horizonといった新世代のアーティストが見事にヘッドライナーを務めるなど、多くの名シーン生まれた今年の夏フェスシーズン。そんな名シーンの中でも夏フェスならではと言えるのが、キャリアアーティストのコラボステージである。通常ではなかなか見ることのできない組み合わせのコラボがステージ上で起こす化学反応ーーこの夏、奇跡的に生まれたキャリアアーティストによるコラボの瞬間を振り返ってみよう。 【写真】サザン、ロッキンひたちなかのステージに出演者全員集合! まずは、『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2024 in HITACHINAKA』でのサザンオールスターズのパフォーマンスについて言及しなければならないだろう。『ROCK IN JAPAN FESTIVAL』の25周年を記念して5年ぶりに茨城県の国営ひたち海浜公園で開催されたこのフェス。その目玉はなんといっても、今回の出演を“最後の夏フェス”と位置付けたサザンオールスターズのステージだ。もちろんチケットは即ソールドアウト、そして全国332館もの映画館で行われた異例のライブビューイングも瞬く間にチケットは完売。そんな今年の夏フェスシーズンの中でも屈指の注目度となったサザンオールスターズのステージは、キャリアを横断するようなヒット曲目白押しのセットリストで構成され、老若男女あらゆるオーディエンスを魅了していった。そして迎えたアンコールで生まれたのが奇跡の瞬間だったのである。最後まで温存させていた「勝手にシンドバッド」が披露されると、当日の出演者であるヤバイTシャツ屋さん、ももいろクローバーZ、緑黄色社会、Creepy Nuts、WANIMA、THE YELLOW MONKEYがサプライズ登場し、サザンオールスターズの夏フェス引退のステージはさながらカーニバルの様相で大団円にて締め括られた。 次に今年の『フジロック』と『RISING SUN ROCK FESTIVAL 2024 in EZO』(以下、『RSR』)で話題となったWEEKEND LOVERSのジョイントライブにも注目すべきである。チバユウスケと中村達也が主宰し、ライブイベントとして2002年に始まったこの『WEEKEND LOVERS』。昨年のチバの他界を経て、11年ぶりの開催となった今回、『フジロック』と『RSR』がその舞台となった。今回は主宰者である中村のソロプロジェクト・LOSALIOSとThe Birthday(クハラカズユキ・ヒライハルキ・フジイケンジ)がホストとなり、『フジロック』ではTHA BLUE HERBのILL-BOSSTINOとYONCEを、『RSR』では奥田民生や斉藤和義などといったミュージシャンをゲストとして迎えた。豪華なアーティストたちが集い、ステージが盛り上がれば盛り上がるほど、本当であればそこにいるはずだったチバユウスケの不在も浮き彫りになっていくようでもあった。それでも歪んだギターがかき鳴らされ、爆音のドラムスが鼓膜を打ち、ボーカリストの熱いシャウトがそんな感傷的な感情をも吹き飛ばし、ロックンロールパーティーは続く――。きっとこのロックンロールパーティーは、ずっと我々の胸の中でチバの残像とともに続いていくだろう。 まだまだほかにも今年の夏フェスでのコラボライブを紹介していこう。『ライジング』では、東京スカパラダイスオーケストラのステージでもコラボの瞬間が生まれた。これまでにも多くのアーティストとコラボしてきたスカパラ。彼らの新作アルバム『35』に収録される楽曲「散りゆく花のせいで」でも共演を果たした菅田将暉がサプライズで登場し「るろうの形代」を披露、そしてライブ終盤ではSaucy Dogの石原慎也がステージに上がると「紋白蝶」「Paradise Has No Border」を演奏。完全燃焼で彼らの出番を終えた。また、スカパラは『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2024 in HITACHINAKA』にも出演し、こちらではSUPER EIGHTと「あの夏のあいまいME」「メモリー・バンド」をコラボパフォーマンス。スカパラにとってデビュー35周年イヤーとなる今年の夏フェスを、コラボステージを通じて盛り上げ切った。