2015年のネットメディアは、伝統的な紙メディアを駆逐できない
紙メディアはネットメディアに駆逐されない
ここ10年近く、新しいネットメディアの試みが続いていた。市民参加型のネットメディア「JanJan」や、韓国の市民参加型メディアのモデルを移入した「オーマイニュース」などの試みは、いずれもうまくいかなかった。商業型ネットメディアの「J-CASTニュース」などは、紙メディアのニュースの後追い記事が中心であり、独自の報道ができる体制にはいまだ至っていない。 紙の新聞は、いまだ読み続けられている。特に地方では、その地域の細かい情報が多く掲載されている地方紙がシェア5割以上を占める地域もあり、地域社会の人たちを引きつけている。一般人の出産や結婚、訃報なども掲載し、特に訃報は重要な情報となっており、新聞によっては死亡した人についての情報(年齢やもともとの職業・勤務先)だけではなく、葬儀の時間や会場、喪主の氏名や職業まで掲載されている。この「お悔やみ欄」は、地方紙ではよく読まれている。 このサイト「THE PAGE」も、大阪や愛知の地域情報を発信している。また、「みんなの経済新聞ネットワーク」は、各地域のビジネス&カルチャー情報を頻繁に報道している。しかし、いまだ地域の一般的なニュースを取り上げるためのネットメディアがない地域も多い。 紙メディアには、取材力もネットワークもあり、そのための人員も多く確保している。インターネットメディアが紙メディアに取って代わるには、まだまだ時間がかかる。そのあたりの問題を解決しなくては、ネットメディアは進歩しない。 確かに紙メディアは部数としては低下しているものの、取材力において「紙メディア崩壊」はかなり先の話である。少なくとも今年は「生き残る」。風間氏が移籍先としてしっかりとした組織力を持っている朝日新聞社を選んだというのは、納得させられるものである。 ネットメディアが紙メディアを駆逐するには、まだまだ時間がかかり、課題も多い。 (ライター・小林拓矢)