Bloomberg

（ブルームバーグ）： 米国のトレーダーが為替市場に参戦する時間帯になると、円相場が対ドルで下落基調を強める傾向が最近顕著だ。１ドル＝151円台と約３カ月ぶりの安値水準に円を押し下げた売り圧力の主体が米投資家の中に数多く存在することを示している。

ブルームバーグのデータによると、過去２週間のドル・円は複数回にわたって米国の取引時間帯に円安が加速している。17日に８月１日以来となる150円台に乗せたのは米時間帯で、21日に８月来安値を更新したのも同様だ。22日には日本市場でも一時151円台まで円が売られ、今後のさらなる円安進行に警戒感が募る。

米商品先物取引委員会（ＣＦＴＣ）が公表したデータによると、ヘッジファンドと資産運用会社は10月第２週にドルのショート（売り）を差し引き約80億ドル（約１兆2100億円）減らした。これは新型コロナウイルス禍中の2021年以降で最大の規模だ。

ソニーフィナンシャルグループの森本淳太郎シニアアナリストは、151円30銭台に位置する投資家の長期売買コストを示す200日移動平均線を超えると、ドルは「155円ぐらいまで上昇余地が広がる」と指摘。重要なチャートポイントの突破で、一方、ここを超えられずに反落すれば、「上値が重くなる」と言う。

９月中旬には一時139円台を付けた円相場は、わずか１カ月ほどで10円以上円安・ドル高に振れている。背景にあるのは、米経済統計の堅調や米連邦準備制度理事会（ＦＲＢ）高官の発言をきっかけに大幅な利下げ観測が後退し、事前の想定ほど日米金利差は縮小しないとの見方だ。

21日の米債市場では10年債利回りが10ベーシスポイント（ｂｐ、１ｂｐ＝0.01％）以上上昇し、4.19％と７月下旬以来の高水準を付けた。

シンガポールのサクソ・マーケッツのチーフ投資ストラテジスト、チャル・チャナナ氏は「米時間帯にドル・円相場が急騰するのは、米金利の動きがより大きな要因であることを明確に示している」と述べた。同氏は米経済統計とＦＲＢ高官の発言がこの通貨ペアを動かす主因となっており、「市場がトランプ大統領の可能性を織り込み続けるなら、米大統領選挙までこの状況が続く可能性は高い」と予想した。