〈本社記者・パリだより〉「パリと能登はともに」 仏で広がる支援の輪
【パリ=定木克樹】元日の能登半島地震を受け、パリでも支援の輪が広がっている。日本食品専門商社は売り上げの一部を義援金として被災地に届ける物産展を開催し、バレエ団はチャリティーオークションを実施した。主催者側は「パリと能登はともにある」として支援を続けていく方針だ。 ●日本食品商社、物産展で義援金 大野しょうゆ、石川の地ビール並べ バレエ団がチャリティーパリ市内でカフェ「UMAMI Matcha Café」を運営する日本食材商社「UMAMI」は2~3月、店内で金沢の大野しょうゆや石川の地ビール、みそなどを並べた復興支援の物産展を開いた。この催しは地震前から石川フェアとして実施する予定だったが、地震を受けて売り上げの一部を県に届けることにした。期間中は多くの人でにぎわったという。 UMAMIは2014年、日本のだしの良さをパリ市民に売り込むためにオープンした。店では現在も大野しょうゆや地ビールを販売している。 同社は10月下旬から約3カ月間、県と連携し、石川のアンテナ店として食や伝統工芸の良さを紹介する。店頭に並べる石川の食品や飲料、工芸品を増やす予定にしており、現在はその商品を募集している。 昨年10月に石川を訪問したジャン・ベガン社長(41)は「日本の中でも思い入れの強い石川で地震が起き、とてもショッキングだ。これからも少しでも力になりたい」と話した。 ●バレエ団がチャリティー パリ・オペラ座バレエ団は2月の日本公演に合わせ、団員の直筆サインが入ったトーシューズやTシャツのチャリティーオークションを実施した。日本舞台芸術振興会によると、総額335万1666円が集まり、県に義援金として送った。 在仏日本人会は5月、「石川県を助けよう」をテーマに恒例の「日本祭」を開いた。8千人ほどが集まった会場に募金箱を設け、出店の売り上げの一部とともに被災地に送った。静岡県出身の片川喜代治会長(77)は「パリからも石川への思いを届けたい」と話した。