立ち合いから一気に若元春（右）を攻める阿炎（撮影・坂部計介）

　「大相撲春場所・４日目」（１３日、エディオンアリーナ大阪） 　２場所ぶりに小結に復帰した阿炎が、関脇若元春を撃破した。親友対決を制し、役力士で唯一の無傷４連勝を決めた。横綱照ノ富士は、平幕明生に金星を献上して２敗目。大関陣では霧島が唯一黒星を喫し、４連敗となった。全勝は阿炎、大の里、新入幕の尊富士の３人。 　完璧な立ち合いで先手を取った。阿炎は若元春に立ち上がる暇を与えないほどの鋭い踏み込みを見せると、もろ手で当たって突っ張り、一気に突き出した。４連勝を決め「これまでいなされて、手繰られることが多かった。いなしを警戒して対応できて良かった」と充実感をにじませた。 　親友と書いてライバルと読む。若元春とは家族ぐるみでプライベートの時間を過ごし、お互いの妻や子ども同士も交流があるほど大の仲良し。今場所から同時に役力士に返り咲き、場所前には「お互いに頑張ろう」と健闘を誓い合った。一方で本場所に入れば「私生活は別。場所中はあまり話さない」（阿炎）とすぐに戦闘モード。この日の取組でも親友という意識を忘れて、お互いに全力でぶつかり合った。 　昨年１２月に元関脇寺尾の先代師匠が死去。２月に部屋付きだった元小結豊真将の立田川親方が年寄錣山を襲名し、新師匠として正式に部屋を継承した。新たなスタートを切る今場所で、阿炎は部屋頭として貴景勝、霧島の２大関、若元春、大栄翔の２関脇を撃破する好調ぶり。役力士の全勝は自身のみとなった。「（今日の）相撲を増やせるように。相撲に真っすぐ向き合っている。一日一番に集中するだけ」。２２年九州場所で賜杯を抱いた実力者が、荒れる春場所の主役に躍り出る。