<挑戦の春・’21センバツ専大松戸>第2部 支える仲間/上 3人の努力、選手と共に マネジャーも運営の要 /千葉
2月上旬、専大松戸野球部の練習グラウンドは朝まで降り続いた雨でぬかるんでいた。グラウンド脇の、部室が入る建物の周辺の地面は泥で汚れている。午後、床ブラシで乾いた泥を除きながら掃除をする3人の女子生徒の姿があった。野球部マネジャーの三浦未来(みく)さん(2年)、刀川(たちかわ)美怜さん(同)、飯高菜緒さん(同)。 「毎日顔を合わせていて、家族よりも一緒にいます」と3人は顔を合わせて笑う。三浦さんは三つ年上の兄の翔さんが元野球部員。刀川さんは小学6年生の時、夏の甲子園に出場した同校野球部を見てからマネジャーを目指してきた。飯高さんは、練習を見学した時に部員の情熱を感じて入部した。 マネジャーは忙しい。練習グラウンドの敷地には、部室の建物や屋内練習場など六つの建物がある。ほうきやぞうきんを使う建物周辺と中の掃除は毎日の作業だ。 部員が汗をふいたり、道具をみがいたりするのに使う備品のタオルは、グラウンドの敷地にある3台の洗濯機をフル稼働して洗う。 練習でおなかをすかせた部員のために、10合の米を炊くのも日課だ。部に備え付けの茶わんに、めいめいが好きなだけよそって食べるのが慣例だった。しかし昨年から、新型コロナウイルスの感染防止のため茶わんの使用をやめ、おにぎりにした。 除菌したゴム手袋を着け、3人で約40個のおにぎりをつくる。そのうち半分はふりかけで味をつける。最近の一番人気は「チャーハン味」だ。 半分は白飯のまま出す。残した弁当のおかずと一緒に食べるという部員には、白飯の方が人気だという。 試合では、交代で1人がスコアブックを持ってベンチに入る。ベンチに入らない2人はスタンドでスコアブックを書き、試合を見守る。試合前後はテーピングや水分補給用のタンクなどの搬入・搬出をする。応援に来る父母に手伝ってもらうこともある。 三浦さんは「野球部の運営をスムーズにするのが私たちの役割」と意気込む。刀川さんは「選手に恥じないよう、手を抜かずに全力でやる」と心がけている。飯高さんは「センバツに行けるのはもちろんだが、選手が生き生きとプレーする顔を見られることが何よりうれしい」と話す。 森岡健太郎部長によると、マネジャーは入部の前に時間をかけてじっくりと面談するという。「野球部の運営のため、選手同様に取り組んで、社会に出た時に生きるものを学んでほしい」との考えからだ。厳しさを乗り越えてこそ、やり遂げた充実感もある。それは選手たちと同じだ。3人の地道な努力が、野球部を支えている。【長沼辰哉】