急速な展開を見せる「日本版ライドシェア」の全面解禁にタクシー業界からは猛反発。普及への最大の課題は「地域住民への説明不足」にあり?
「日本版ライドシェアが一部解禁」。最近こうした報道をよく目にする。しかし、日本ではまだ認知度の低いサービスのため、そもそも「ライドシェア」とはいったい何なのか、よく理解できていない人も多いかもしれない。なぜ急速に解禁される流れとなっているのか、その背景と現状の問題点を、自動車産業界ジャーナリスト・桃田健史が解説する。 【画像】米国では2010年ごろから「Lyft」や「Uber」といったライドシェアサービスが台頭し、交通手段として浸透している
「ライドシェア」とはいったい何か?
昨今注目されている「ライドシェア」とは、第一種運転免許しか持たない、またはタクシーなど事業車を運転できる第二種運転免許を持つ人が、白ナンバーの自家用車を使って旅客運送行為をすることを指す。 これまでは、一部の例外を除き、いわゆるこうした「白タク」行為は道路運送法で禁止されてきた。現在でも世界中の多くの国・地域で白タク行為は違法となっているが、2010年代に入ってから米国西海岸で新規事業による業態再編のブレイクスルーが起こった。 その背景にあるのは、スマートフォンの普及と、ITを活用し旅客運送の最適ルートを解析する技術の発達だ。これにより、ライドを必要としている人と提供する人をスマホ上でマッチングするビジネスモデルが実現可能となり、代表例として「Lyft(リフト)」や「Uber(ウーバー)」が創業した。 ただし、その創世記においては、米国でもライドシェアは旅客運送事業として違法であったため、慈善事業という形をとっていた。利用者は寄付を建前として法の網目をくぐったが、タクシー業界からは猛反発を食らった。 その後、ライドシェア事業者は米国各地でロビイ活動を続け、結果として多くの州や地域で合法ビジネスとして認められるようになっていった。 こうした米国発のライドシェアビジネスにグローバルで投資マネーが集まるようになり、欧州、中国、東南アジアなどでも類似のビジネスが広がっていった。だが、国によって法的な解釈が違ったり、またはライドシェアの規制強化に動いたりするなど、その対応に差があるのが実状だ。